十勝農業従事者における最適な手外科疾患治療時期の検討

農業従事者に対して手外科治療を行なう上で,手外科治療と農業の両立を図れるように配慮することが重要であるが,これまで医療従事者の観点から農業従事者の忙しさに関して詳細に調査した研究は認めない。本研究では,手外科手術治療を行なった十勝地方の個人農家(耕種農業・畜産農業)20例に対してアンケートを実施し,月毎の忙しさ及び手外科治療を希望する時期に関して調査を行なった。  耕種農業においては5月頃の施肥・播種,育苗・移植時期,及び8~10月の収穫・運搬時期に忙しさのピークを認めた。一方,畜産農業に関しては飼育管理のための通年の忙しさに加え,5~10月に飼料作物の施肥・播種,収穫・運搬による忙しさのピー...

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Veröffentlicht in:Nihon Nōson Igakkai zasshi 2022, Vol.70(6), pp.636-642
Hauptverfasser: 山本, 和洋, 本宮, 真, 那須, 紫文, 大本, 慎也, 小石, 永, 渡辺, 直也, 安井, 啓悟, 岩渕, 達也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:農業従事者に対して手外科治療を行なう上で,手外科治療と農業の両立を図れるように配慮することが重要であるが,これまで医療従事者の観点から農業従事者の忙しさに関して詳細に調査した研究は認めない。本研究では,手外科手術治療を行なった十勝地方の個人農家(耕種農業・畜産農業)20例に対してアンケートを実施し,月毎の忙しさ及び手外科治療を希望する時期に関して調査を行なった。  耕種農業においては5月頃の施肥・播種,育苗・移植時期,及び8~10月の収穫・運搬時期に忙しさのピークを認めた。一方,畜産農業に関しては飼育管理のための通年の忙しさに加え,5~10月に飼料作物の施肥・播種,収穫・運搬による忙しさのピークを認めた。一般的な手外科治療には3か月程度の就業制限を伴うため,全例が11~1月に治療を希望していた。  手外科治療には手術だけでなく,術後の後療法も重要であり,回復までには長期の治療期間を要する。治療にあたる医療従事者は,農繁期における受傷時には早期の職業復帰をサポートし,2期再建や変性疾患の治療を農閑期に行なうなど,農繁期と農閑期を意識した治療計画の提供が求められる。一方,急性外傷受傷時に,公的組織や業者へのサポートに期待している症例はわずかであり,医療の視点から行政に向けての情報提供も行なっていく必要があると考える。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.70.636