3次元蛍光分析に基づく白繭蛍光の同定

白繭品種の繭層に存在する蛍光物質の実体を明らかにするため,3次元蛍光分析を行った。ブラックライト下で黄色蛍光を発する繭層には,ピークα(励起波長335nm,蛍光波長420nm),ピークβ(蛍励起波長370nm,蛍光波長 540nm)の2つの蛍光が観察された。ピークβの原因物質は,セリシン層に存在しており,quercetin 5,4’-di-O-glucoside,あるいはこれと同様な蛍光フラボノイドであると推定された。一方,ピークαは,セリシン層の化合物を除去した後の繭層においても観察され,その実体は絹糸タンパク質そのものに起因することが明らかにされた。また,同じ白繭品種でも黄色蛍光の強度には...

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Veröffentlicht in:Sanshi, konchū baiotekku 2021, Vol.90(3), pp.3_189-3_194
Hauptverfasser: 平山, 力, 小瀬川, 英一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:白繭品種の繭層に存在する蛍光物質の実体を明らかにするため,3次元蛍光分析を行った。ブラックライト下で黄色蛍光を発する繭層には,ピークα(励起波長335nm,蛍光波長420nm),ピークβ(蛍励起波長370nm,蛍光波長 540nm)の2つの蛍光が観察された。ピークβの原因物質は,セリシン層に存在しており,quercetin 5,4’-di-O-glucoside,あるいはこれと同様な蛍光フラボノイドであると推定された。一方,ピークαは,セリシン層の化合物を除去した後の繭層においても観察され,その実体は絹糸タンパク質そのものに起因することが明らかにされた。また,同じ白繭品種でも黄色蛍光の強度には品種間差があり,日本在来種よりも中国在来種の方が,平均的に蛍光強度が高いことが明らかになった。
ISSN:1881-0551
1884-7943
DOI:10.11416/konchubiotec.90.3_189