Scedosporium apiospermum complexによる壊死性胎盤炎がみられた黒毛和種牛の流産

2017年8月,北海道十勝管内の黒毛和種牛が流産した.母牛の胎盤組織は真菌感染を伴う壊死性胎盤炎を呈し,組織中の真菌の形態はAspergillus 属真菌に類似していた.一方,胎盤から分離された真菌は,形態的特徴及びDNAのITS領域の分子生物学的解析によりScedosporium apiospermum complexと同定され,本症例の流産は本真菌の感染が原因と考えられた.本真菌は日本国内でも土壌や河川の水中に広く生息し,人では難治性肺炎の原因の一つとして知られている真菌である.しかし,畜産分野における症例報告は少なく,これまで日本国内で牛の流産胎盤から本真菌が分離された報告はない.本真菌...

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Veröffentlicht in:Nippon Juishikai zasshi 2021/09/20, Vol.74(9), pp.553-557
Hauptverfasser: 川島, 悠登, 中谷, 敦子, 宮根, 和弘, 花房, 泰子, 芝原, 友幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:2017年8月,北海道十勝管内の黒毛和種牛が流産した.母牛の胎盤組織は真菌感染を伴う壊死性胎盤炎を呈し,組織中の真菌の形態はAspergillus 属真菌に類似していた.一方,胎盤から分離された真菌は,形態的特徴及びDNAのITS領域の分子生物学的解析によりScedosporium apiospermum complexと同定され,本症例の流産は本真菌の感染が原因と考えられた.本真菌は日本国内でも土壌や河川の水中に広く生息し,人では難治性肺炎の原因の一つとして知られている真菌である.しかし,畜産分野における症例報告は少なく,これまで日本国内で牛の流産胎盤から本真菌が分離された報告はない.本真菌の組織中の形態はAspergillus 属真菌にきわめて類似しており,診断には分子生物学的解析の併用が不可欠と考えられた.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.74.553