リーダーシップと効果的なリスクコミュニケーションによる災害リスクガバナンス強化に関する実証的研究: 徳島県を事例として

徳島県では,東日本大震災以降,連続的なリスク提示や対応による連続的なリスクコミュニケーションの実践が,防災・減災の行動の動機付け,具体行動に結びつき,地域における防災体制の強化や円滑な避難誘導の確保への高い効果として発現されている。災害リスクガバナンスのもとでのリスクコミュニケーションについては,行政のリーダーシップや効果的なコミュニケーションができなければ,行動の動機付けや具体行動に結びつかないといった意識をもって取り組んできた。一方,先行研究により,リスクガバナンス及びリスクコミュニケーションに求められる必要な要件を踏まえ,行動の動機付け,具体行動へ結びつける影響因子を検討し,「具体行動の...

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Veröffentlicht in:Water Science 2021/08/01, Vol.65(3), pp.70-112
Hauptverfasser: 海野, 修司, 山田, 正
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:徳島県では,東日本大震災以降,連続的なリスク提示や対応による連続的なリスクコミュニケーションの実践が,防災・減災の行動の動機付け,具体行動に結びつき,地域における防災体制の強化や円滑な避難誘導の確保への高い効果として発現されている。災害リスクガバナンスのもとでのリスクコミュニケーションについては,行政のリーダーシップや効果的なコミュニケーションができなければ,行動の動機付けや具体行動に結びつかないといった意識をもって取り組んできた。一方,先行研究により,リスクガバナンス及びリスクコミュニケーションに求められる必要な要件を踏まえ,行動の動機付け,具体行動へ結びつける影響因子を検討し,「具体行動の意思決定構造」を構築した。具体的には,信頼(専門的能力・姿勢・主要価値類似性)のフィルターから三つの流れ,①リスクバイアス(恐ろしさ・未知性)を介したリスク認知,②規範(自己的・社会的規範),③リスクへの対処評価(行動の効果・コスト・自己効力)のそれぞれのフィルターを経由して,行動の動機付け,具体行動の意思決定が行われる構造を提案する。この「具体行動の意思決定構造」とその影響因子を分析枠組みとし,本県がリスクコミュニケーションを行う上で意識する事項に,意思決定構造のどの影響因子が作用したかを分析することで,意識する事項が意思決定上どのような意義を有するか評価を行い,今後の災害リスクガバナンスやリスクコミュニケーションの在り方を提案するものである。
ISSN:0039-4858
2432-4671
DOI:10.20820/suirikagaku.65.3_70