寒冷地の黒ボク土水田でのプラウ耕鎮圧体系乾田直播栽培における水稲の生育および収量

寒冷地の黒ボク土の水田にて,プラウ耕鎮圧体系乾田直播栽培した水稲「あきたこまち」の生育および収量を移植栽培と5カ年比較した.高い砕土率(92%)と播種後の鎮圧によりプラウ耕鎮圧体系乾田直播区(乾直区)の苗立ち率は78%であった.移植栽培区(移植区)より乾直区で播種日が平均4日遅く,生育は,分げつ始期から最高分げつ期において葉齢と草丈が移植区より乾直区で小さく,SPAD値は分げつ期から出穂期まで乾直区で低く推移した.しかし,穂揃い期の地上部乾物重には栽培法による差がみられなかった.出穂期と成熟期は移植区より乾直区でそれぞれ10日,13日遅かった.収量構成要素のうち,移植区と比較して穂数は同程度で...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of crop science 2021/07/05, Vol.90(3), pp.343-351
Hauptverfasser: 篠遠, 善哉, 大谷, 隆二, 松波, 寿典
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:寒冷地の黒ボク土の水田にて,プラウ耕鎮圧体系乾田直播栽培した水稲「あきたこまち」の生育および収量を移植栽培と5カ年比較した.高い砕土率(92%)と播種後の鎮圧によりプラウ耕鎮圧体系乾田直播区(乾直区)の苗立ち率は78%であった.移植栽培区(移植区)より乾直区で播種日が平均4日遅く,生育は,分げつ始期から最高分げつ期において葉齢と草丈が移植区より乾直区で小さく,SPAD値は分げつ期から出穂期まで乾直区で低く推移した.しかし,穂揃い期の地上部乾物重には栽培法による差がみられなかった.出穂期と成熟期は移植区より乾直区でそれぞれ10日,13日遅かった.収量構成要素のうち,移植区と比較して穂数は同程度であったが,1穂籾数は少なく,登熟歩合は低く,総籾数は減少傾向であり,精玄米重と全刈収量は乾直区でそれぞれ11%,13%少なかった.精玄米重と総籾数,総籾数と穂数にはそれぞれ正の相関関係が認められ,幼穂形成期と減数分裂期のSPAD値はそれぞれ1穂籾数と正の相関関係が認められた.移植区と比較して乾直区では,千粒重が大きく,玄米タンパク質含有率は低かった.今後,プラウ耕鎮圧体系乾田直播栽培で移植栽培と同等の収量を得るためには,幼穂形成期と減数分裂期のSPAD値を維持し,穂数の確保に加えて,1穂籾数と登熟歩合を向上させるための栽培法が重要と考えられる.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.90.343