戦後の専門高校「森林科学」(森林土木)関連科目の変化と課題

戦後の専門高校での「森林科学」(森林土木)関連科目について,「学習指導要領」(1947~2017年)と教科書をもとに,科目の教育目標と教育内容の変化を分析した。科目名は,戦後に「森林土木」,1970年代に3科目(「伐木運材」,「林業機械」,「砂防」)に分かれ,1978年に「林業土木」に統合し,1998年に「森林科学」(2章分)になった。教育目標は,荒廃地の復旧と国土の保全,林業機械や土木工事を含む木材の伐採・搬出の知識・技術の習得から,「森林科学」では森林の保全と利用に変わった。教育内容の項目は,戦後で一貫しており(4分野8項目),「概論(役割・安全),伐木造材(計画,伐木・造材,集材・運材・...

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Veröffentlicht in:Nihon Shinrin Gakkaishi 2021-04, Vol.103 (2), p.86-95
Hauptverfasser: 井上, 真理子, 大石, 康彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:戦後の専門高校での「森林科学」(森林土木)関連科目について,「学習指導要領」(1947~2017年)と教科書をもとに,科目の教育目標と教育内容の変化を分析した。科目名は,戦後に「森林土木」,1970年代に3科目(「伐木運材」,「林業機械」,「砂防」)に分かれ,1978年に「林業土木」に統合し,1998年に「森林科学」(2章分)になった。教育目標は,荒廃地の復旧と国土の保全,林業機械や土木工事を含む木材の伐採・搬出の知識・技術の習得から,「森林科学」では森林の保全と利用に変わった。教育内容の項目は,戦後で一貫しており(4分野8項目),「概論(役割・安全),伐木造材(計画,伐木・造材,集材・運材・貯木),林業土木・機械(林道,林業機械),砂防(治山治水,砂防工事)」が挙げられた。教科書の記載は,技術の発展を受けて増加したが,「森林科学」で林業機械や砂防工事などの専門技術の記載が減った。森林土木の教育は,先行研究の「森林経営」と「森林科学」(育林)と同様に,専門教育の目標が専門的な職業人の養成から専門の基礎・基本に変わった影響を受けて,林業の実務的な学習が森林の保全・利用の学習になっていた。
ISSN:1349-8509