スギにおける幼齢期に形成された年輪のミクロフィブリル傾角と雪圧害による根元曲がりの関係

雪圧害によるスギの根元曲がりは積雪地帯において幼齢期に発生する気象害である。本研究ではこの根元曲がりに対する晩材仮道管S2層のミクロフィブリル傾角(MFA)の影響を明らかにした。研究材料には抵抗性グループと対照グループを用いた。前者はこれまでの育種事業で抵抗性が高いと評価された6系統を用いた。後者は,同事業において抵抗性が低いと評価された3系統,精英樹,天然スギ,地スギを各1系統とする計6系統を用いた。これら12系統の胸高部からコアを採取し,髄からの年輪数を年輪番号と定義して測定対象とした年輪番号のMFAを測定した。抵抗性グループのMFAの値は全ての年輪において対照グループよりも小さく,3,5...

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Veröffentlicht in:Nihon Shinrin Gakkaishi 2021/04/01, Vol.103(2), pp.71-77
Hauptverfasser: 宮下, 智弘, 渡部, 公一, 工藤, 佳世, 高田, 克彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:雪圧害によるスギの根元曲がりは積雪地帯において幼齢期に発生する気象害である。本研究ではこの根元曲がりに対する晩材仮道管S2層のミクロフィブリル傾角(MFA)の影響を明らかにした。研究材料には抵抗性グループと対照グループを用いた。前者はこれまでの育種事業で抵抗性が高いと評価された6系統を用いた。後者は,同事業において抵抗性が低いと評価された3系統,精英樹,天然スギ,地スギを各1系統とする計6系統を用いた。これら12系統の胸高部からコアを採取し,髄からの年輪数を年輪番号と定義して測定対象とした年輪番号のMFAを測定した。抵抗性グループのMFAの値は全ての年輪において対照グループよりも小さく,3,5年輪ではグループ間に有意差が認められた。また,幼齢期に形成された年輪のMFAと根元曲がりの大きさには高い相関関係が認められた。一般的に,MFAが小さいと樹幹の曲げヤング率は高いため,抵抗性グループは対照グループよりも幼齢期の樹幹ヤング率が高かったと推測された。樹幹ヤング率が高いと樹冠への着雪による幹の傾く量は軽減されるため,この結果として根元曲がりの形成量も小さくなると考えられた。
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.103.71