チャバネアオカメムシの加害部から感染したErwinia chrysanthemiによるナシ果実腐敗症の発生

2014年8月、山口県内の赤ナシ無袋栽培園において、ナシ「豊水」と「新興」の果実が激しく腐敗する症状が発生した。罹病組織からは均一なコロニーの細菌が分離され、分離細菌を果実に付傷接種することによって腐敗症状が再現されたことから、本細菌が本症状を引き起こす病原体であると考えられた。被害発生園地では、チャバネアオカメムシが多発していることから、カメムシの加害の関与が推測された。カメムシ放飼と細菌噴霧とを組み合わせて接種とすると腐敗症状が再現されたことから、カメムシの口針による加害によって果皮に生じた微細な穴から本細菌が感染し、本症状が生じたものと推測された。ナシ果実と枝への接種試験、細菌学的性質の...

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Veröffentlicht in:山口県農林総合技術センター研究報告 2021-03 (12), p.30-35
Hauptverfasser: 唐津, 達彦, 殿河内, 寿子, 岡崎, 仁, 堀田, 光生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:2014年8月、山口県内の赤ナシ無袋栽培園において、ナシ「豊水」と「新興」の果実が激しく腐敗する症状が発生した。罹病組織からは均一なコロニーの細菌が分離され、分離細菌を果実に付傷接種することによって腐敗症状が再現されたことから、本細菌が本症状を引き起こす病原体であると考えられた。被害発生園地では、チャバネアオカメムシが多発していることから、カメムシの加害の関与が推測された。カメムシ放飼と細菌噴霧とを組み合わせて接種とすると腐敗症状が再現されたことから、カメムシの口針による加害によって果皮に生じた微細な穴から本細菌が感染し、本症状が生じたものと推測された。ナシ果実と枝への接種試験、細菌学的性質の調査、PCR検定および16SリボソームRNA遺伝子シーケンスに基づく系統解析の結果から、本細菌はナシさび色胴枯病の病原細菌として報告されているErwinia chrysanthemi(現Dickeya属)と同定された。
ISSN:2185-0437