有機栽培畑への転換を前提とした緑肥導入モデルの検討—緑肥の導入が窒素肥沃度へ及ぼす影響

有機栽培に取り組んで間もない圃場では窒素肥沃度が醸成されていないため低収となることが多い.緑肥は病害虫や雑草の抑制のみならず地力向上にも効果を有する.播種または植付けの時点から遡り2年以上,化学肥料や化学合成農薬を使用しない転換期間にマメ科緑肥を栽培することで,有機栽培畑として望ましい窒素肥沃度(熱水抽出性窒素50~70 mg kg−1)に達するための方策を圃場試験で検討した.転換期間に相当する1, 2年目に後作緑肥(ヘアリーベッチ)または休閑緑肥(アカクローバ)を栽培することにより,熱水抽出性窒素は5~15 mg kg−1程度上昇した.この結果は,緑肥が熱水抽出性窒素の主成分である易分解性有...

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Veröffentlicht in:Nippon dojō hiryōgaku zasshi 2021/04/05, Vol.92(2), pp.192-199
Hauptverfasser: 櫻井, 道彦, 坂口, 雅己, 日笠, 裕治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:有機栽培に取り組んで間もない圃場では窒素肥沃度が醸成されていないため低収となることが多い.緑肥は病害虫や雑草の抑制のみならず地力向上にも効果を有する.播種または植付けの時点から遡り2年以上,化学肥料や化学合成農薬を使用しない転換期間にマメ科緑肥を栽培することで,有機栽培畑として望ましい窒素肥沃度(熱水抽出性窒素50~70 mg kg−1)に達するための方策を圃場試験で検討した.転換期間に相当する1, 2年目に後作緑肥(ヘアリーベッチ)または休閑緑肥(アカクローバ)を栽培することにより,熱水抽出性窒素は5~15 mg kg−1程度上昇した.この結果は,緑肥が熱水抽出性窒素の主成分である易分解性有機態窒素の給源として有効に作用したことを示している.それに伴い,有機栽培転換後に相当する3, 4年目に栽培した野菜類も10~30%程度増収した.また,畑土壌における微生物活性の指標であるα-グルコシダーゼ活性は緑肥のすき込み量に応じて上昇する傾向であった.以上の結果を基に,有機栽培への転換期間に緑肥を導入することにより窒素肥沃度を高めるモデルを提案した.
ISSN:0029-0610
2424-0583
DOI:10.20710/dojo.92.2_192