北海道東部火山性草地土壌における人為的要因による土壌炭素含有率への影響

地球温暖化抑制には,土壌炭素含有率の増加が有効であると指摘されている.草地土壌は土壌炭素含有率が高く,二酸化炭素吸収源として期待できる.そこで草地において,草地更新後年数や施肥が土壌炭素含有率に与える影響について検討した.調査地は北海道根室地方14カ所の草地とした.各草地で植生を調査し,物理性および化学性測定用の土壌試料を採取した.土壌は,A0層の厚さを計測し,化学性と真核微生物の存在比率を測定した.また,得られたデータを,草地管理状況を勘案して解析した.土壌中の全炭素含有率に直接影響する要因としては,A0層厚さと土壌pH(H2O)が挙げられた.A0層の厚さの増大によって,土壌中の全炭素含有率...

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Veröffentlicht in:Nippon dojō hiryōgaku zasshi 2021/04/05, Vol.92(2), pp.182-191
Hauptverfasser: 佐々木, 章晴, Tu, Zhihao, 湯本, 勳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:地球温暖化抑制には,土壌炭素含有率の増加が有効であると指摘されている.草地土壌は土壌炭素含有率が高く,二酸化炭素吸収源として期待できる.そこで草地において,草地更新後年数や施肥が土壌炭素含有率に与える影響について検討した.調査地は北海道根室地方14カ所の草地とした.各草地で植生を調査し,物理性および化学性測定用の土壌試料を採取した.土壌は,A0層の厚さを計測し,化学性と真核微生物の存在比率を測定した.また,得られたデータを,草地管理状況を勘案して解析した.土壌中の全炭素含有率に直接影響する要因としては,A0層厚さと土壌pH(H2O)が挙げられた.A0層の厚さの増大によって,土壌中の全炭素含有率は上昇する傾向があった.一方,土壌pH(H2O)の増加によって土壌中の全炭素含有率は減少する傾向があった.草地更新後の経過年数の経過によって,A0層厚さが増加した.一方,草地への窒素投入量の増加によって,A0層厚さは減少した.窒素投入量抑制と草地更新後年数の増加は,土壌炭素含有率を増加させる傾向があった.土壌交換性カルシウムの増加は土壌pH(H2O)を増加させ,土壌炭素含有率を低下させたが,イネ科牧草冠部被度と土壌真核微生物叢の多様性を増大させた.以上の結果は,土壌炭素含有量と土壌真核微生物叢の多様性を両立させる,最適なカルシウム資材施用方法の検討の可能性を示唆していた.
ISSN:0029-0610
2424-0583
DOI:10.20710/dojo.92.2_182