「篠栗九大の森」の林況

九州大学福岡演習林にある「篠栗九大の森」は,九州大学と福岡県糟屋郡篠栗町との共同管理のもと2010年7月から一般市民に公開されている区域である。「篠栗九大の森」は教育研究用のフィールドとしての活用はもちろん,今後,一般市民に向けた文化的機能や健康・レクリエーション機能を発揮することに対する要望も高まると思われる。これらのための基礎として,当区域の植生に関する情報は十分とはいえないことから,2018年5月から9月にかけて当区域内の15箇所に10m×10mの方形区を設定し,各方形区における毎木調査を実施した。その結果,2科2種の裸子植物,37科65種の被子植物,木本植物としては計39科67種が出現...

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Veröffentlicht in:九州大学農学部演習林報告 = Bulletin of the Kyushu University Forest 2021-03 (102), p.49-60
Hauptverfasser: 山口, 幹広, 古賀, 信也, 劉, 莉, 呂, 紫秋, 榎木, 勉, 井上, 晋
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:九州大学福岡演習林にある「篠栗九大の森」は,九州大学と福岡県糟屋郡篠栗町との共同管理のもと2010年7月から一般市民に公開されている区域である。「篠栗九大の森」は教育研究用のフィールドとしての活用はもちろん,今後,一般市民に向けた文化的機能や健康・レクリエーション機能を発揮することに対する要望も高まると思われる。これらのための基礎として,当区域の植生に関する情報は十分とはいえないことから,2018年5月から9月にかけて当区域内の15箇所に10m×10mの方形区を設定し,各方形区における毎木調査を実施した。その結果,2科2種の裸子植物,37科65種の被子植物,木本植物としては計39科67種が出現し,調査区外の出現種および山内ら(2013)の調査結果をあわせると裸子植物3科5種,被子植物39科69種,計42科74種の木本植物となった。高木層ではハゼノキ,コナラ,クロキ,クスノキが優占していた。かつて優占したアイグロマツの高木も観察されたがその個体数はわずかであった。低木層は全域でヒサカキが優占していたが,区域北側の低木層はイヌマキが優占しており,今後高木化と分布拡大の可能性がある。林分全体としては木本植物の更新が随時行われていると考えられた。
ISSN:0453-0284