Salmonella enterica serovar Dublinによる胎子の病変形成を伴う流産事例

2019年10月,黒毛和種繁殖牛1頭が胎齢270日で流産した.胎子の剖検所見では,肺の水腫及び胸腔内に線維素の析出,肝臓の白斑がみられた.病理組織学的には胎子肺で肺胞腔内にグラム陰性の短桿菌を伴う吸引性肺炎がみられ,肝でチフス結節様病変とグラム陰性の短桿菌集簇がみられた.抗O9群サルモネラ家兎血清を用いた免疫組織化学染色ではグラム陰性の短桿菌に陽性反応を示した.また,細菌学的検査で胎子の主要臓器からSalmonella enterica serovar Dublin(S. Dublin)が分離されたため,S. Dublinによる流産と診断した.S. Dublinによる流産例の報告は多数あるが,...

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Veröffentlicht in:Nippon Juishikai zasshi 2020/11/20, Vol.73(11), pp.649-652
Hauptverfasser: 谷口, 有紀子, 中谷, 敦子, 手塚, 聡, 山本, 彩乃, 加藤, 千絵子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:2019年10月,黒毛和種繁殖牛1頭が胎齢270日で流産した.胎子の剖検所見では,肺の水腫及び胸腔内に線維素の析出,肝臓の白斑がみられた.病理組織学的には胎子肺で肺胞腔内にグラム陰性の短桿菌を伴う吸引性肺炎がみられ,肝でチフス結節様病変とグラム陰性の短桿菌集簇がみられた.抗O9群サルモネラ家兎血清を用いた免疫組織化学染色ではグラム陰性の短桿菌に陽性反応を示した.また,細菌学的検査で胎子の主要臓器からSalmonella enterica serovar Dublin(S. Dublin)が分離されたため,S. Dublinによる流産と診断した.S. Dublinによる流産例の報告は多数あるが,胎子の検査はほとんど実施できておらず,病変形成がみられた報告例はない.本例では,胎子の主要臓器からS. Dublinが分離され,肝臓のチフス結節様病変がみられたため,胎子でもサルモネラ症に特徴的な病変形成を起こすことが明らかとなった.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.73.649