武蔵水路における費用負担の変遷

武蔵水路は,東京都そして埼玉県南部に都市用水を運ぶため,利根川と荒川をつなげた導水量毎秒50m3の人工水路であり,1967(昭和42)年竣工となった。当時,東京では「東京サバク」と揶揄されるほど水不足が大きな社会問題となっていた。当初は,毎秒50m3のうち20m3は都市用水(東京都,埼玉県),30m3は浄化用水として使用され,都市用水の費用は東京都の「優先支出法」で負担され,浄化用水は東京都が立て替え負担した。東京都は,一刻も早い利根川からの導水を願っていたのである。その後,浄化用水は将来の見込み利用量にもとづき,都市用水は使用水量にもとづき,東京都と埼玉県による水量割に変更された。導水の緊急...

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Veröffentlicht in:Water Science 2020/08/01, Vol.64(3), pp.65-74
1. Verfasser: 松浦, 茂樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:武蔵水路は,東京都そして埼玉県南部に都市用水を運ぶため,利根川と荒川をつなげた導水量毎秒50m3の人工水路であり,1967(昭和42)年竣工となった。当時,東京では「東京サバク」と揶揄されるほど水不足が大きな社会問題となっていた。当初は,毎秒50m3のうち20m3は都市用水(東京都,埼玉県),30m3は浄化用水として使用され,都市用水の費用は東京都の「優先支出法」で負担され,浄化用水は東京都が立て替え負担した。東京都は,一刻も早い利根川からの導水を願っていたのである。その後,浄化用水は将来の見込み利用量にもとづき,都市用水は使用水量にもとづき,東京都と埼玉県による水量割に変更された。導水の緊急性が東京都と埼玉県の間で同等となったのである。また,その後,武蔵水路は内水排除にも利用する改築事業が行われ,2015(平成27)年に竣工した。その費用負担は,河川(内水排除+浄化用水)と都市用水間では「身替支出法」で行われ,都市用水は東京都と埼玉県の間で水量割により行われた。
ISSN:0039-4858
2432-4671
DOI:10.20820/suirikagaku.64.3_65