スギ・ヒノキ人工林を利用する確率の高い鳥類種の推定

人工林は日本の森林の約40%を占めており,木材供給だけでなく生物にとっての適した生息場所として機能することが期待されている。しかしながら,人工林内の生物の多様性およびその生態について十分に理解されているとはいえない。本研究ではスギ・ヒノキ人工林で観察される鳥類種を明らかにし,その生態的特徴について考察した。調査は2014年から2018年の鳥類の繁殖期にあたる5月から6月にかけて神奈川県西部の3山域57地点において実施した。観察調査から8目26科45種がスギ・ヒノキ林を利用していることが明らかとなった。確認された種数およびその種組成は,スギ林とヒノキ林との間で有意な違いはみられなかった。確認され...

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Veröffentlicht in:Nihon Shinrin Gakkaishi 2020/06/01, Vol.102(3), pp.147-156
Hauptverfasser: 遠藤, 幸子, 成瀬, 真理生, 近藤, 博史, 田村, 淳
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:人工林は日本の森林の約40%を占めており,木材供給だけでなく生物にとっての適した生息場所として機能することが期待されている。しかしながら,人工林内の生物の多様性およびその生態について十分に理解されているとはいえない。本研究ではスギ・ヒノキ人工林で観察される鳥類種を明らかにし,その生態的特徴について考察した。調査は2014年から2018年の鳥類の繁殖期にあたる5月から6月にかけて神奈川県西部の3山域57地点において実施した。観察調査から8目26科45種がスギ・ヒノキ林を利用していることが明らかとなった。確認された種数およびその種組成は,スギ林とヒノキ林との間で有意な違いはみられなかった。確認された鳥類のうち留鳥10種と夏鳥2種を含む2目9科12種は,全ての山域で年を経ても繰り返し確認されており,これらはスギ・ヒノキ人工林を利用する確率の高い種であると示唆された。これら12種のうち11種は昆虫食であった。さらに,10種は樹上と樹洞に営巣する傾向があった。このように,人工林を利用する確率の高い種では,食性と営巣場所の選択において高い共通性がみられた。
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.102.147