イノシシの生息地利用が示唆する獣害対策としての環境管理

島根県大田市において里山に生息するイノシシをGPS追跡し,イノシシの生息地選択と人の土地利用,特に農地利用の時代的変化との関係を検討した。イノシシは放棄竹林と農地を潰廃,転換した人工林を集中利用した。放棄竹林はタケノコなどの餌場に加え,人の出入りがないため休息場として利用されていた。転換された人工林は,下草の管理が行き届かず餌になるクズなどの藪が繁茂し,耕作放棄地と同様,採食と休息に良好な生息地を形成していた。過去に農林用地であった里山では,土地利用の経緯に応じた環境管理を設計し,イノシシに選択された環境の優先的な縮減と,これからの発生を抑制することで,被害防護対策の有効性を高めることが期待で...

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Veröffentlicht in:Suido no chi 2018, Vol.86(5), pp.385-389,a1
Hauptverfasser: 竹内, 正彦, 斎藤, 昌幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:島根県大田市において里山に生息するイノシシをGPS追跡し,イノシシの生息地選択と人の土地利用,特に農地利用の時代的変化との関係を検討した。イノシシは放棄竹林と農地を潰廃,転換した人工林を集中利用した。放棄竹林はタケノコなどの餌場に加え,人の出入りがないため休息場として利用されていた。転換された人工林は,下草の管理が行き届かず餌になるクズなどの藪が繁茂し,耕作放棄地と同様,採食と休息に良好な生息地を形成していた。過去に農林用地であった里山では,土地利用の経緯に応じた環境管理を設計し,イノシシに選択された環境の優先的な縮減と,これからの発生を抑制することで,被害防護対策の有効性を高めることが期待できる。
ISSN:1882-2770
1884-7196
DOI:10.11408/jjsidre.86.5_385