蒸煮処理によるBt作物のカイコに対する毒性の消失

家畜飼料素材であるGM作物をカイコの人工飼料に利用することを目的に,BtトウモロコシおよびBt大豆を含有する飼料を作成し,カイコの2齢幼虫に摂取させた。Cry2Ab2を発現するトウモロコシ(MON89034)は強い殺虫活性を有するが,蒸煮処理により殺虫活性は完全に失われた。トウモロコシも大豆も,無蒸煮で与えた場合にはGMかNon-GMに関わらずカイコの成長を抑制する活性を有するが,蒸煮処理によりその活性は失われた。また,家畜飼料用トウモロコシ(遺伝子組み換え不分別; アメリカ合衆国産)を添加した人工飼料の蒸煮処理時間を3分から90分の間に設定し調製したところ,蒸煮時間3分の飼料中にはカイコに対...

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Veröffentlicht in:Sanshi, konchū baiotekku 2020, Vol.89(1), pp.1_035-1_040
Hauptverfasser: 平山, 力, 渡部, 賢司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:家畜飼料素材であるGM作物をカイコの人工飼料に利用することを目的に,BtトウモロコシおよびBt大豆を含有する飼料を作成し,カイコの2齢幼虫に摂取させた。Cry2Ab2を発現するトウモロコシ(MON89034)は強い殺虫活性を有するが,蒸煮処理により殺虫活性は完全に失われた。トウモロコシも大豆も,無蒸煮で与えた場合にはGMかNon-GMに関わらずカイコの成長を抑制する活性を有するが,蒸煮処理によりその活性は失われた。また,家畜飼料用トウモロコシ(遺伝子組み換え不分別; アメリカ合衆国産)を添加した人工飼料の蒸煮処理時間を3分から90分の間に設定し調製したところ,蒸煮時間3分の飼料中にはカイコに対する殺虫活性が保持されているとともに,各種Bt毒素(Cry1Ab,Cry3Bb,Cry1F,およびCry2A)が検出された。ところが,蒸煮時間10分間の飼料ではカイコの発育を抑制する活性は消失しており,Bt毒素を含むGMタンパク質は全く検出されなかった。以上の結果から,カイコの人工飼料調製における通常の蒸煮処理により,飼料中に含まれるBt毒素をはじめとする有毒なタンパク質は完全に不活化すると推測されるので,これらの家畜飼料素材をカイコの人工飼料に導入することが十分に可能であると考えられた。
ISSN:1881-0551
1884-7943
DOI:10.11416/konchubiotec.89.1_035