夏秋トマト雨よけ栽培における赤外線カット資材による終日遮光は放射状裂果の発生を抑制し可販果収量を増加させる

熊本県では標高400~650mの夏期冷涼な地域で夏秋トマトの雨よけ栽培が行われている。しかし,夏期にはハウス内が高温となることから,放射状裂果の発生による可販果率の低下や可販果収量の減少が問題となっており,対策技術が求められている。近年,ハウス内の昇温抑制を目的とした,光合成有効放射(PAR)透過率が高く,近赤外線(NIR)を選択的に吸収または反射する赤外線カット資材が開発されている。そこで本研究では,新規の反射型赤外線カット資材による夏期の終日遮光が,放射状裂果の発生や可販果収量に及ぼす影響について検討した。試験は標高543mの熊本県農業研究センター高原農業研究所において2017年,2018...

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Veröffentlicht in:熊本県農業研究センター研究報告 = Research bulletin of the Kumamoto Prefectural Agricultural Research Center 2020-03 (27), p.7-15
Hauptverfasser: 岩本, 英伸, 宮本, 哲郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:熊本県では標高400~650mの夏期冷涼な地域で夏秋トマトの雨よけ栽培が行われている。しかし,夏期にはハウス内が高温となることから,放射状裂果の発生による可販果率の低下や可販果収量の減少が問題となっており,対策技術が求められている。近年,ハウス内の昇温抑制を目的とした,光合成有効放射(PAR)透過率が高く,近赤外線(NIR)を選択的に吸収または反射する赤外線カット資材が開発されている。そこで本研究では,新規の反射型赤外線カット資材による夏期の終日遮光が,放射状裂果の発生や可販果収量に及ぼす影響について検討した。試験は標高543mの熊本県農業研究センター高原農業研究所において2017年,2018年の2年間実施した。雨よけ栽培の夏秋トマトを赤外線カット資材で終日遮光すると,無遮光に比べてハウス内日最高気温の遮光期間の平均が1.2~1.3℃低下した。また,光が当たっている果実の表面温度が5.7℃,葉の表面温度が2.5℃それぞれ低下した。赤外線カット資材で遮光すると無遮光に比べ葉長および葉幅が増加したが,地上部乾物重および総収量に有意な差はなかった。赤外線カット資材の被覆により無遮光に比べ放射状裂果の発生が減少し,可販果率が向上した。また,可販果1果重が増加し,可販果収量が16~21%増加した。一方,遮光率40%程度の一般的な遮光資材による終日遮光では,無遮光に比べハウス内気温や果実,葉の表面温度の低下および放射状裂果の減少が認められたが,地上部乾物重および総収量が減少し,可販果収量は増加しなかった。以上から,赤外線カット資材による終日遮光は,夏秋トマトにおける放射状裂果の発生抑制や可販果収量の増加に有効であることが示された。
ISSN:0915-8510