窒素肥沃度の低い水田での冬期湛水有機栽培が土壌中形態別窒素量と水稲の生育に及ぼす影響
冬期湛水田の高い生産力の要因を明らかにするため,2013~2015年に有機栽培を行っている冬期湛水田と冬期乾田のそれぞれに無施肥区と菜種油粕を施用した標準施肥区を設け,水稲の栽培試験を行うとともに,層位別に採取した土壌の形態別窒素濃度を定量した.冬期湛水により,わら重,籾重,精玄米重並びに穂数,一穂籾数,m2あたり籾数が有意に増加し,水稲の草丈,茎数および葉色は,概ね生育期間を通して冬期湛水で高かった.冬期湛水田では,春先には土性が砂質壌土あるいは砂質埴壌土の作土の直上において,土性が軽埴土の表層土の形成が速やかに始まった.表層土の形成は冬期湛水区で冬期乾田区より早く開始され,その層厚は冬期湛...
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Veröffentlicht in: | Nippon dojō hiryōgaku zasshi 2020/04/05, Vol.91(2), pp.67-74 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 冬期湛水田の高い生産力の要因を明らかにするため,2013~2015年に有機栽培を行っている冬期湛水田と冬期乾田のそれぞれに無施肥区と菜種油粕を施用した標準施肥区を設け,水稲の栽培試験を行うとともに,層位別に採取した土壌の形態別窒素濃度を定量した.冬期湛水により,わら重,籾重,精玄米重並びに穂数,一穂籾数,m2あたり籾数が有意に増加し,水稲の草丈,茎数および葉色は,概ね生育期間を通して冬期湛水で高かった.冬期湛水田では,春先には土性が砂質壌土あるいは砂質埴壌土の作土の直上において,土性が軽埴土の表層土の形成が速やかに始まった.表層土の形成は冬期湛水区で冬期乾田区より早く開始され,その層厚は冬期湛水田で1.8~4.2 cm, 冬期乾田で0.5~2.2 cmであった.表層土の無機態+可給態窒素は128~171 mg kg−1,硫酸抽出態窒素は68~72 mg kg−1,アルカリ抽出態窒素は1729~2078 mg kg−1,窒素全量は2859~3301 mg kg−1で,作土より約3~5倍高かったが,表層土の各形態窒素は冬期湛水を行っても含有率は高まらなかった.一方,表層土を含む全層の無機態+可給態窒素含有量は冬期湛水田で高く推移した.これは,表層土の層厚が冬期乾田に比べて約2倍厚いことと,作土から表層土へ粘土が移動し,それに伴い表層土の可給態窒素が増加したためと考えられた.以上から,西南暖地の窒素肥沃度が低い水田で冬期湛水有機栽培を行うと,全層の無機態+可給態窒素含有量が高くなり,水稲の生育,収量が増加したと考えられた. |
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ISSN: | 0029-0610 2424-0583 |
DOI: | 10.20710/dojo.91.2_67 |