業務用水稲新品種「恋初めし」における最適窒素施肥体系

近年,精米販売量に占める業務用米の割合が増加しているが,業務用米においては多収と一定程度の品質の両立が求められるため,主食用とは異なる栽培管理が必要となる.本研究では,良食味・多収で業務利用に適した水稲新品種「恋初めし」での最適な窒素施肥体系を検討するため,生育前半の施肥量3水準(3,6,9 g m–2)と穂肥3水準(0,3,6 g m–2)を組み合わせた9処理の施肥試験を2017年と2018年に計3作期実施した.精玄米重は,3作期共通して穂肥が3または6 g m–2の条件で多収となり,その多収の要因としては,施肥量の増量による籾数の増加が関与していると考えられた.一方,外観品質は総窒素施肥量...

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Veröffentlicht in:Japanese journal of crop science 2020/01/05, Vol.89(1), pp.16-23
Hauptverfasser: 小林, 英和, 長田, 健二
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年,精米販売量に占める業務用米の割合が増加しているが,業務用米においては多収と一定程度の品質の両立が求められるため,主食用とは異なる栽培管理が必要となる.本研究では,良食味・多収で業務利用に適した水稲新品種「恋初めし」での最適な窒素施肥体系を検討するため,生育前半の施肥量3水準(3,6,9 g m–2)と穂肥3水準(0,3,6 g m–2)を組み合わせた9処理の施肥試験を2017年と2018年に計3作期実施した.精玄米重は,3作期共通して穂肥が3または6 g m–2の条件で多収となり,その多収の要因としては,施肥量の増量による籾数の増加が関与していると考えられた.一方,外観品質は総窒素施肥量が多いほど低下し,特に穂肥の影響が大きかった.これらの結果から,「恋初めし」においては,生育前半施肥量6 g m–2,穂肥量3 g m–2が収量および品質の両面から最適な窒素施肥体系と判断された.また,外観品質の作期間差が大きく,高温および寡照条件で整粒歩合が低くなったことから,適切な作期の選択による外観品質の向上も重要と考えられた.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.89.16