放射性セシウム吸収抑制対策を実施した福島県水田土壌の交換性カリ含量の変動とその土壌要因
2011年の東京電力第一原子力発電所の事故後,玄米の放射性セシウム(RCs)吸収抑制のため,多量のカリ肥料が施用された.福島県は水稲作付け前の土壌交換性カリ含量(ExK)>250 mg K2O kg–1を目標値としたカリ肥料の増施(上乗せ施用)を推奨した.本研究では,県内水田のExKデータ(2011年:n=863,2014年:n=730,2017年:n=577)を収集し,13地域に分け,その地域的な変動を調査した.また,ExK増加に関わる土壌要因について考察した.2011年に高いRCs濃度の玄米が多く生産された地域では,2011年~2014年に313 mg K2O kg–1のExKの増加がみら...
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Veröffentlicht in: | 農作業研究 2019/09/20, Vol.54(3), pp.163-172 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 2011年の東京電力第一原子力発電所の事故後,玄米の放射性セシウム(RCs)吸収抑制のため,多量のカリ肥料が施用された.福島県は水稲作付け前の土壌交換性カリ含量(ExK)>250 mg K2O kg–1を目標値としたカリ肥料の増施(上乗せ施用)を推奨した.本研究では,県内水田のExKデータ(2011年:n=863,2014年:n=730,2017年:n=577)を収集し,13地域に分け,その地域的な変動を調査した.また,ExK増加に関わる土壌要因について考察した.2011年に高いRCs濃度の玄米が多く生産された地域では,2011年~2014年に313 mg K2O kg–1のExKの増加がみられ,約250 kg K2O ha–1 year–1の上乗せ施用があった.ExK>250 mg K22O kg–1の地点数の割合は,2017年時点で81%であった.2011年~2014年の各区域のExK増加量と有意な相関がある土壌要因は,有効CEC,Ek(ExK当量/有効CEC)であり,CECとの相関は認められなかった.2011年~2017年のExK増加量と上乗せ施用でのカリ施用量との線形モデルの決定係数(R2)は0.41であったが,施用量にEkの逆数を乗じた場合は0.56となりモデルの向上が図られた.このことはEk,もしくはEkを算出する際に用いる有効CECがExKの保持の指標になり得ることを示唆する. |
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ISSN: | 0389-1763 1883-2261 |
DOI: | 10.4035/jsfwr.54.163 |