カンキツ新品種‘津之輝’
1. ‘津之輝’は1984年に果樹試験場口之津支場において,KyOw No.14(‘清見’ב興津早生’)に‘アンコール’を交雑して育成された品種である。2001年よりカンキツ第9回果樹系統適応性・特性検定試験に系統名カンキツ口之津34号として供試した。その結果,2008年3月にみかん農林17号‘津之輝’と命名,登録された。また,2009年3月19日付けで,種苗法に基づき第17970号として品種登録された。2. 樹勢は中程度,樹姿は直立性と開張性の中間である。枝梢は長さ,太さともに中位で密生する。隔年結果性は中程度である。そうか病には強く,かいよう病には中程度の抵抗性がある。カンキツトリステザ...
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Veröffentlicht in: | 農研機構研究報告. 果樹茶業研究部門 = Bulletin of the NARO. Fruit Tree and Tea Science 2019-03 (3), p.33-45 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1. ‘津之輝’は1984年に果樹試験場口之津支場において,KyOw No.14(‘清見’ב興津早生’)に‘アンコール’を交雑して育成された品種である。2001年よりカンキツ第9回果樹系統適応性・特性検定試験に系統名カンキツ口之津34号として供試した。その結果,2008年3月にみかん農林17号‘津之輝’と命名,登録された。また,2009年3月19日付けで,種苗法に基づき第17970号として品種登録された。2. 樹勢は中程度,樹姿は直立性と開張性の中間である。枝梢は長さ,太さともに中位で密生する。隔年結果性は中程度である。そうか病には強く,かいよう病には中程度の抵抗性がある。カンキツトリステザウイルス(CTV)に強く,ステムピッティングの発生程度は軽である。3. 果実は180g程度で,扁球形である。果皮は濃橙色で,果面の粗滑は中位である。果皮の厚さは平均2.7mmで薄い。剥皮性は中である。果肉は濃橙色で,じょうのう膜はやわらかく,肉質は柔軟多汁である。果汁の糖度は13%程度と高く,酸度は1月下旬には1g/100mL前後になる。成熟期は1月下旬~2月上旬である。含核数は平均で2粒程度であるが,無核果の割合も高い。果肉に含まれる総カロテノイド含量は3年平均値で4.62mg/100gFW,β-クリプトキサンチン含量は2.18mg/100gFWとウンシュウミカン‘興津早生’よりも高い傾向にあった。4. 成熟期が1月下旬と厳冬期にあたるため-4℃を下回らない地域に適していると考えられる。また,少加温施設栽培にすることで200g以上の大果で糖度が13%以上の高品質果実が年内出荷可能になる。5. 若齢樹では,特に施設栽培で果頂部に突起「へそ果」が発生しやすいため摘果時に落とす必要がある。また,夏季の高温期に土壌が過乾燥することで果皮表面に葉における葉肉崩壊症のような褐変症状が発生することがあるため灌水等により土壌の過乾燥を防ぐ必要がある。 |
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ISSN: | 2432-6631 |