東京大学千葉演習林の林内に残る炭窯跡の実態

房総半島南部に位置する東京大学千葉演習林の東部地域において山中の炭窯跡を探索し,その分布や立地,微地形,形状,材質などの実態を調査した。発見された対象炭窯跡66個の実態は多様であったが,形状では円形,材質では土,立地では谷底,微地形では遷緩線上のものが多く見られた。既往の知見と同様に,炭材を集めやすく水の調達が容易で緩やかな傾斜地であるといった,製炭作業上の利便性の高い立地・微地形に分布していた炭窯が比較的多かった。ただし,尾根に分布する炭窯跡も存在し,移動・運搬などを含む総合的な利便性が炭窯の設置場所に影響を及ぼした可能性もある。黒炭窯・白炭窯の双方が存在したと推察され,各々の炭窯跡について...

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Veröffentlicht in:東京大学農学部演習林報告 2019-03 (139-140), p.1-15
Hauptverfasser: 當山, 啓介, 金井, 敬宏, 三次, 充和, 江口, 誠一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:房総半島南部に位置する東京大学千葉演習林の東部地域において山中の炭窯跡を探索し,その分布や立地,微地形,形状,材質などの実態を調査した。発見された対象炭窯跡66個の実態は多様であったが,形状では円形,材質では土,立地では谷底,微地形では遷緩線上のものが多く見られた。既往の知見と同様に,炭材を集めやすく水の調達が容易で緩やかな傾斜地であるといった,製炭作業上の利便性の高い立地・微地形に分布していた炭窯が比較的多かった。ただし,尾根に分布する炭窯跡も存在し,移動・運搬などを含む総合的な利便性が炭窯の設置場所に影響を及ぼした可能性もある。黒炭窯・白炭窯の双方が存在したと推察され,各々の炭窯跡について各属性の組合せは様々であったものの,「山腹・斜面間平坦地・イチョウ形・石積み」,「尾根・楕円形・土」の組合せはやや特徴的であった。炭窯跡立地小班の推定最終伐採時点の林種は天然林・人工林双方の場合があった。
ISSN:0371-6007