畜産飼料用低温発酵性乳酸菌の分離選抜と特性解明
冬期間の安価かつ安全な乳牛用発酵飼料の提供を目的として、秋田県畜産試験場および秋田十條化成株式会社と共同研究を実施し、低温環境下で発酵飼料製造に適した乳酸菌の分離選抜から発酵飼料の製造、乳牛の嗜好性調査、乳酸菌製剤の開発までを一貫して検討した。当センターは低温環境下で飼料の発酵に優れた適性を有する乳酸菌の分離選抜および特性解明を担当した。目的を達成するにあたり、選抜する乳酸菌の特性として、a. 低温環境下における発酵性と増殖性に優れた乳酸菌であり、かつ、b. 秋田県産農産未利用資源を利用した発酵TMR飼料(Total Mixed Rations: 混合飼料)を製造でき、かつ、c. 飼料用イネの...
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Veröffentlicht in: | 秋田県総合食品研究センター報告 = Bulletin of the Akita Research Institute of Food and Brewing : ARIF 2018-12 (20), p.23-32 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 冬期間の安価かつ安全な乳牛用発酵飼料の提供を目的として、秋田県畜産試験場および秋田十條化成株式会社と共同研究を実施し、低温環境下で発酵飼料製造に適した乳酸菌の分離選抜から発酵飼料の製造、乳牛の嗜好性調査、乳酸菌製剤の開発までを一貫して検討した。当センターは低温環境下で飼料の発酵に優れた適性を有する乳酸菌の分離選抜および特性解明を担当した。目的を達成するにあたり、選抜する乳酸菌の特性として、a. 低温環境下における発酵性と増殖性に優れた乳酸菌であり、かつ、b. 秋田県産農産未利用資源を利用した発酵TMR飼料(Total Mixed Rations: 混合飼料)を製造でき、かつ、c. 飼料用イネの発酵性に優れている、といった、3つの特性が求められた。そこで、畜産試験場内圃場の牧草や飼料作物およびロールベールサイレージを乳酸菌の分離源とし、選抜試験を行った結果、上記3つの特性を兼ね備えたラクトバシラス・カルバタスC5127Di株(以下、C5127Di株)を得た。外気温の平均気温が氷点下となる厳寒期の屋外での、C5127Di株を使用した実規模発酵TMR製造試験ではpH4.58の発酵飼料となり、良好な発酵飼料の指標とされるpH4.5以下をわずかに上回ったものの、厳寒期の屋外においても発酵TMR飼料製造を実現できることが明らかとなった。さらに、乳酸菌添加量は一般的な使用量の1/10量で良く、低コスト化が期待された。C5127Di株により、北海道と本州の一部を除いたほぼ全国で、良質な発酵飼料の通年製造を実現できると期待される。 |
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ISSN: | 2185-6699 |