世界自然遺産「白神山地」より分離された乳酸菌「白神サケイ株」の日本酒への利用
世界自然遺産「白神山地」より、低温増殖性および低温発酵性に優れた日本酒製造に有用な清酒用乳酸菌の分離選抜を試み、ラクトバシラス サケイKLB3138aC株を取得した。KLB3138aC株の諸性質の決定と酒造適性を検討し、「白神サケイ株」として技術移転を行い、清酒の商品化に至ったので報告する。秋田県山本郡八森町の世界自然遺産「白神山地」緩衝地域より所管官庁の許可を得て採取した温帯落葉広葉樹林帯の腐葉土から乳酸菌を分離した。新規に得られた乳酸菌ラクトバシラス サケイKLB3138aC株は、従来の生もと酒母より分離された同種のNBRC3541株に比べて低温で良好な生育を示し、低温にて乳酸を高生産した...
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Veröffentlicht in: | 秋田県総合食品研究センター報告 = Bulletin of the Akita Research Institute of Food and Brewing : ARIF 2018-12 (20), p.12-22 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 世界自然遺産「白神山地」より、低温増殖性および低温発酵性に優れた日本酒製造に有用な清酒用乳酸菌の分離選抜を試み、ラクトバシラス サケイKLB3138aC株を取得した。KLB3138aC株の諸性質の決定と酒造適性を検討し、「白神サケイ株」として技術移転を行い、清酒の商品化に至ったので報告する。秋田県山本郡八森町の世界自然遺産「白神山地」緩衝地域より所管官庁の許可を得て採取した温帯落葉広葉樹林帯の腐葉土から乳酸菌を分離した。新規に得られた乳酸菌ラクトバシラス サケイKLB3138aC株は、従来の生もと酒母より分離された同種のNBRC3541株に比べて低温で良好な生育を示し、低温にて乳酸を高生産した。また、5%以下のアルコール濃度環境下で良好な生育を示し、マルトース資化性及びメリビオース資化性を失った特殊な糖質資化性を示した。KLB3138aC株に最適な清酒製造法を検討したところ、伝統的な生もと/山廃酒母の温度経過ならびに高温糖化もとにおける清酒製造法に適性を見いだした。生もと/山廃酒母の野生乳酸菌にかわりKLB3138aC株を利用することで、乳酸発酵期間を0~7日まで短縮し、酒母期間を7~15日とする大幅な短縮を実現した。これにより、高品質で一定した品質の乳酸発酵酒母を計画的に製造出来るようになり、設備利用効率や作業効率の向上および省力化が実現できた。 |
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ISSN: | 2185-6699 |