トレニア(Torenia fournieri)の花色とアントシアニン

Torenia fournieriは重要な夏花壇品目であると同時に，トレニア属植物の育種上，豊富な花色を持つ遺伝資源としても重要である。5つの異なる色を有するT. fournieriの花弁を用い，6種類のアントシアニン(delphinidin 3,5-diglucoside，cyanidin 3,5-diglucoside，petunidin 3,5-diglucoside，pelargonidin 3,5-diglucoside(Pg 3,5 dG)，peonidin 3,5-diglucoside(Pn 3,5 dG)，malvidin 3,5-diglucoside (Mv 3,5 dG))の存在が確認された。花色により側部花弁に蓄積する主要アントシアニンは異なり，紫花および薄紫花ではMv 3,5 dGが，濃ピンク花ではPn 3,5 dGが，薄ピンク花ではPg 3,5 dGが主要アントシアニンであった。白花にはアントシアニンの蓄積が見られなかった。T. fournieriの花色は，6種のアントシアニンの構成と蓄積量によって決定されていた。