嘔吐・下痢を認めた豚から分離された豚デルタコロナウイルス

2015年1月に山形県内の豚繁殖肥育一貫経営農場の飼育豚において,嘔吐・下痢症が認められた.母豚及び種雄豚では激しい嘔吐または下痢,食欲不振を認めたが,哺乳豚では下痢のみが認められた.豚13頭の糞便についてウイルス遺伝子の検索を行った結果,豚流行性下痢ウイルス及び伝染性胃腸炎ウイルス遺伝子は検出されなかったが,豚デルタコロナウイルス(PDCoV)遺伝子が全頭から検出された.さらに当該材料についてLLC-PK1細胞を用いたウイルス分離を試みたところ,PDCoVが分離された.分離ウイルスのS遺伝子,N遺伝子の塩基配列は米国株及び韓国株と高い相同性を示した.分離ウイルスを抗原に用いた間接蛍光抗体法に...

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Veröffentlicht in:Nippon Juishikai zasshi 2018/07/20, Vol.71(7), pp.354-360
Hauptverfasser: 本田, 光平, 平野, かおり, 小嶋, 暢, 鈴木, 亨, 大橋, 誠一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:2015年1月に山形県内の豚繁殖肥育一貫経営農場の飼育豚において,嘔吐・下痢症が認められた.母豚及び種雄豚では激しい嘔吐または下痢,食欲不振を認めたが,哺乳豚では下痢のみが認められた.豚13頭の糞便についてウイルス遺伝子の検索を行った結果,豚流行性下痢ウイルス及び伝染性胃腸炎ウイルス遺伝子は検出されなかったが,豚デルタコロナウイルス(PDCoV)遺伝子が全頭から検出された.さらに当該材料についてLLC-PK1細胞を用いたウイルス分離を試みたところ,PDCoVが分離された.分離ウイルスのS遺伝子,N遺伝子の塩基配列は米国株及び韓国株と高い相同性を示した.分離ウイルスを抗原に用いた間接蛍光抗体法による抗体検査では,疾病の発生後少なくとも8カ月間抗体が検出される母豚が存在した.本症例は野外において,PDCoVが主原因となる病態を明らかにした国内最初の報告である.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.71.354