熱環境と風況解析に基づく大学キャンパスの環境評価と環境計画への応用

本研究は,熱環境および風環境からみた環境計画手法の確立を目指し,東京農業大学世田谷キャンパスをケーススタディとして,夏季の気象観測から冷涼な緑地を明らかにし,さらに3次元GIS及びCFDによる風のシミュレーションを行うことで風の道を可視化し,熱環境および風環境の面から緑地環境を評価するとともに,世田谷キャンパスの環境評価と環境計画への応用を試みた。その結果,次のことが明らかになった。1)夏季日中に馬事公苑をはじめケヤキ並木やキャンパス内のメタセコイヤの樹林地が約2~3℃の冷涼な緑地であること。2)夏季日中の南風を正門の樹木群が緩和していること。ケヤキ並木からの南風がキャンパス内にもたらされてい...

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Veröffentlicht in:Tokyo Nōgyō Daigaku nōgaku shūhō 2018-03, Vol.62 (3-4), p.69-79
Hauptverfasser: 入江, 彰昭, 上原, 拓三, 荒屋, 亮, 金子, 忠一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究は,熱環境および風環境からみた環境計画手法の確立を目指し,東京農業大学世田谷キャンパスをケーススタディとして,夏季の気象観測から冷涼な緑地を明らかにし,さらに3次元GIS及びCFDによる風のシミュレーションを行うことで風の道を可視化し,熱環境および風環境の面から緑地環境を評価するとともに,世田谷キャンパスの環境評価と環境計画への応用を試みた。その結果,次のことが明らかになった。1)夏季日中に馬事公苑をはじめケヤキ並木やキャンパス内のメタセコイヤの樹林地が約2~3℃の冷涼な緑地であること。2)夏季日中の南風を正門の樹木群が緩和していること。ケヤキ並木からの南風がキャンパス内にもたらされていないと推察されたこと。3)冬季日中の北北西の風が18号館から剥離しキャンパス内で強風となること。4)新研究棟等のキャンパス再整備後,夏季日中の南風が新研究棟から剥離した強い風となること。冬季日中の北北西の風が新研究棟北側で強まること。5)熱環境および風環境解析に基づく新たな環境計画案を評価できることを実証した。本研究で扱ったリモートセンシングによる熱環境のシミュレーション,並びにCFDによる風環境のシミュレーションは,環境科学的アプローチによる環境計画手法を向上させるとともに,意思決定,合意形成のツールとして有用であるといえる。
ISSN:0375-9202