沖縄県宮古島におけるイネヨトウ(チョウ目: ヤガ科)とカンシャシンクイ(チョウ目: ハマキガ科)によるサトウキビ芯枯れ被害およびその対策

沖縄県宮古島におけるサトウキビの夏植えおよび株出し圃場のイネヨトウとカンシャシンクイによる芯枯れ被害について調査した。芯枯れ茎はほとんどが両種の食害によると考えられ,夏植え圃場では秋から冬にかけて徐々に芯枯れ茎率が増加し,株出し圃場では春にピークがあった。島内の3か所または1か所に設置した性フェロモントラップでの誘殺数はイネヨトウでは明瞭なピークがみられず,カンシャシンクイでは春に大きなピークと夏期に極端な減少がみられた。イネヨトウの芯枯れ茎率と産卵推定時期の誘殺数は,夏植え時の粒剤による防除効果が持続している期間を除いて解析すると有意な相関が認められ,誘殺数から被害を予測できる可能性が示唆さ...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Nihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi 2018-02, Vol.62 (1), p.55-65
Hauptverfasser: 清水, 優子, 又吉, 祐輔, 友利, 研一, 山口, 綾子, 上里, 卓己
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:沖縄県宮古島におけるサトウキビの夏植えおよび株出し圃場のイネヨトウとカンシャシンクイによる芯枯れ被害について調査した。芯枯れ茎はほとんどが両種の食害によると考えられ,夏植え圃場では秋から冬にかけて徐々に芯枯れ茎率が増加し,株出し圃場では春にピークがあった。島内の3か所または1か所に設置した性フェロモントラップでの誘殺数はイネヨトウでは明瞭なピークがみられず,カンシャシンクイでは春に大きなピークと夏期に極端な減少がみられた。イネヨトウの芯枯れ茎率と産卵推定時期の誘殺数は,夏植え時の粒剤による防除効果が持続している期間を除いて解析すると有意な相関が認められ,誘殺数から被害を予測できる可能性が示唆された。植付時の薬剤処理としてフィプロニルベイト剤が芯枯れに対して効果が高かった。分げつ期のクロラントラニリプロール水和剤の散布は効果的に芯枯れ茎を抑制した。株出し時の粒剤処理は,フィプロニルベイト剤およびベンフラカルブ粒剤の2剤と,株出し管理機で作られた溝への散粒および土壌混和処理の2処理のいずれの組み合わせも効果に差はなかった。これらの結果から,サトウキビの植付時にフィプロニルベイト剤,分げつ期にクロラントラニリプロール水和剤を処理することでイネヨトウおよびカンシャシンクイによる芯枯れ被害を効果的に抑制できること,株出し栽培ではより安価な農薬を利用できることが示唆された。
ISSN:0021-4914