水分管理がパッションフルーツの樹体生育および果実品質に及ぼす影響

土壌の過湿および乾燥が,パッションフルーツの樹体生育および果実品質に及ぼす影響について検討した.湿潤区(pF 1.3~1.9)では,樹体生育が抑制され結実率が低下した.光合成速度は7月以降に著しく低下し,葉の黄化や根腐れが発生した.その結果,根のデンプン含量が低下した.果実の成熟日数はいずれの処理区よりも短くなった.乾燥区(pF 2.1~2.8)では樹体生育や花芽分化を抑制し,果実の成熟を遅延させた.果実は小さく,糖度が低かった.乾燥ストレスを付与する時期によっても植物体の反応が異なり,栽培前期(着果後約20日まで)では,花, 子房および果実が小さくなるが,SPAD値や結実率は向上した.栽培後...

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Veröffentlicht in:Engeigaku kenkyuu 2018, Vol.17(1), pp.1-10
Hauptverfasser: 島田, 温史, 冨永, 茂人, 山本, 雅史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:土壌の過湿および乾燥が,パッションフルーツの樹体生育および果実品質に及ぼす影響について検討した.湿潤区(pF 1.3~1.9)では,樹体生育が抑制され結実率が低下した.光合成速度は7月以降に著しく低下し,葉の黄化や根腐れが発生した.その結果,根のデンプン含量が低下した.果実の成熟日数はいずれの処理区よりも短くなった.乾燥区(pF 2.1~2.8)では樹体生育や花芽分化を抑制し,果実の成熟を遅延させた.果実は小さく,糖度が低かった.乾燥ストレスを付与する時期によっても植物体の反応が異なり,栽培前期(着果後約20日まで)では,花, 子房および果実が小さくなるが,SPAD値や結実率は向上した.栽培後期(着果後約30日以降)では,樹体生育,花芽形成や光合成速度が抑制され植物体のデンプン含量が低下するが,果皮の着色は良好であった.以上のことから,パッションフルーツ栽培では,土壌の過湿あるいは乾燥は樹体生育および果実品質を抑制するが,一時的な乾燥ストレスは結実率や果皮の着色を向上させることがわかった.
ISSN:1347-2658
1880-3571
DOI:10.2503/hrj.17.1