弱毒ウイルスによる植物ウイルス病の防除:過去・現在から未来へ

「はじめに」植物におけるウイルス病の防除方法の一つに弱毒ウイルスの利用がある. 病徴をほとんど生じさせない弱毒ウイルスを一種の弱毒生ワクチンとして, ウイルス病の予防に利用されているものである. これは, あるウイルスに感染した植物においては, 同じウイルス種の他の系統あるいは近縁のウイルス種による感染が抑制されるという干渉作用あるいはクロスプロテクション(交叉防御)と呼ばれる現象を利用している. ウイルスをもってウイルスを制すという点では, 動物のワクチン療法に類似しているが, 植物には抗体の産生を伴う免疫作用はないので, その機構は異なる. ここでは, 植物における弱毒ウイルスの病原性およ...

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Veröffentlicht in:Nihon Nōyaku Gakkai shi (2013) 2017/08/20, Vol.42(2), pp.326-333
1. Verfasser: 西口, 正通
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」植物におけるウイルス病の防除方法の一つに弱毒ウイルスの利用がある. 病徴をほとんど生じさせない弱毒ウイルスを一種の弱毒生ワクチンとして, ウイルス病の予防に利用されているものである. これは, あるウイルスに感染した植物においては, 同じウイルス種の他の系統あるいは近縁のウイルス種による感染が抑制されるという干渉作用あるいはクロスプロテクション(交叉防御)と呼ばれる現象を利用している. ウイルスをもってウイルスを制すという点では, 動物のワクチン療法に類似しているが, 植物には抗体の産生を伴う免疫作用はないので, その機構は異なる. ここでは, 植物における弱毒ウイルスの病原性および干渉作用など本手法の下に横たわる現象の基礎的研究ならびに弱毒ウイルスの応用・実用的研究などについて, 過去から現在までの状況を説明しながら, 未来へ向けた展望について述べてみたい.
ISSN:2187-0365
2187-8692
DOI:10.1584/jpestics.W17-68