新潟県糸魚川市大所における台杉状天然スギの利用

地際から2m以上の位置で多数の幹分かれが見られる台杉状の天然スギ群落が新潟県内に点在している。本研究では,文献調査と,嘗て実際に天然スギを伐採利用した住民に対する聞き取り調査および住民の住宅を確認することによって,糸魚川市大所集落における集落有林内天然スギの特異な形態と住民の利用方法との関連性について調査した。天然スギは集落内の住宅部材として使用されてきた。木材の伐出は積雪が深くかつ締まった3月から4月に人力で行われ,住宅の部材として適当な大きさの幹が鋸で択伐され,玉切りされ,雪橇で搬出された。冬期に雪上で伐採されたため高い位置での伐採となって多数の幹分かれが見られる特異な形態となった。本研究...

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Veröffentlicht in:Japanese Journal Of Forest Planning 2017/03/31, Vol.50(2), pp.75-84
Hauptverfasser: 龍原, 哲, 山田, 弘二, 明石, 浩見, 大橋, 聡子, 竹内, 公男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:地際から2m以上の位置で多数の幹分かれが見られる台杉状の天然スギ群落が新潟県内に点在している。本研究では,文献調査と,嘗て実際に天然スギを伐採利用した住民に対する聞き取り調査および住民の住宅を確認することによって,糸魚川市大所集落における集落有林内天然スギの特異な形態と住民の利用方法との関連性について調査した。天然スギは集落内の住宅部材として使用されてきた。木材の伐出は積雪が深くかつ締まった3月から4月に人力で行われ,住宅の部材として適当な大きさの幹が鋸で択伐され,玉切りされ,雪橇で搬出された。冬期に雪上で伐採されたため高い位置での伐採となって多数の幹分かれが見られる特異な形態となった。本研究の対象地は江戸時代以来,基本的に集落内の住人の自家利用に限定されてきたため,このような特異な形態の天然スギ群落が残存したといえる。
ISSN:0917-2017
2189-8308
DOI:10.20659/jjfp.50.2_75