貯蔵多糖特性の異なるシアノバクテリア由来枝作り酵素の構造と機能

シアノバクテリアは一般にグリコーゲンを蓄積するが,ごく一部の単細胞種は澱粉の主成分であるアミロペクチンと類似した分岐多糖を蓄積することが見出されている。これらバクテリアのα-グルカンは,枝作り酵素(BE)や枝切り酵素(GlgX)など複数の酵素群によって代謝される。BEとGlgXは,それぞれα-グルカン分子の転移反応と加水分解反応を触媒する。両者の触媒反応は異なるが,反応機構は極めて類似している。シアノバクテリアは複数のBEおよびGlgXアイソザイムを有するが,特性,結晶構造,および糖代謝における役割はほとんど解明されていない。本研究では,BEおよびGlgXに着目し,構造機能相関の解明を試みた。...

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Veröffentlicht in:応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 = Bulletin of applied glycoscience 2017-05, Vol.7 (2), p.84-90
Hauptverfasser: 鈴木, 龍一郎, 林, 真里, 黒木, みほ, 木村, 友亮, 佐々木, 柾秀, 藤田, 直子, 鈴木, 英治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:シアノバクテリアは一般にグリコーゲンを蓄積するが,ごく一部の単細胞種は澱粉の主成分であるアミロペクチンと類似した分岐多糖を蓄積することが見出されている。これらバクテリアのα-グルカンは,枝作り酵素(BE)や枝切り酵素(GlgX)など複数の酵素群によって代謝される。BEとGlgXは,それぞれα-グルカン分子の転移反応と加水分解反応を触媒する。両者の触媒反応は異なるが,反応機構は極めて類似している。シアノバクテリアは複数のBEおよびGlgXアイソザイムを有するが,特性,結晶構造,および糖代謝における役割はほとんど解明されていない。本研究では,BEおよびGlgXに着目し,構造機能相関の解明を試みた。その結果,澱粉生産型シアノバクテリア由来BE1アイソザイムおよびGlgX2アイソザイムの結晶構造を決定した。BE1については,マルトオリゴ糖と複合体を形成した状態での結晶構造を決定し,サブサイトを同定した。また,7カ所の酵素表面の基質糖鎖結合部位を同定した。これらの成果から,BEの反応メカニズムの予想モデルを提唱した。本総説では,BEの構造機能相関について述べる。
ISSN:2185-6427