水田湛水中のドブシジミ(マルスダレガイ目: ドブシジミ科)とドジョウ(コイ目: ドジョウ科)が両種の餌増加に及ぼす間接効果とその種間相互作用が2種の分布連関に与える影響
水田湛水中の藻類とそれを餌とするミジンコとドブシジミおよびユスリカ幼虫,さらにはミジンコおよびユスリカ幼虫を餌とするドジョウの直接および間接種間相互作用を明らかにする目的で要因実験と野外調査を行った。要因実験では,ドブシジミとドジョウの2要因とし,これらの要因が藻類群集の現存量に及ぼす影響を明らかにした。その結果,ドジョウはミジンコを捕食することで微小藻類を増大させ,ドブシジミはドジョウが共存した場合には濾過摂食により微小藻類を消費し減少させた。それゆえ,ドジョウがミジンコを捕食する間接効果として,ドブシジミの餌である微小藻類が増加し,それがドブシジミの個体数を増加させる可能性があった。一方,...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | Nihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi 2017-05, Vol.61 (2), p.81-91 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 水田湛水中の藻類とそれを餌とするミジンコとドブシジミおよびユスリカ幼虫,さらにはミジンコおよびユスリカ幼虫を餌とするドジョウの直接および間接種間相互作用を明らかにする目的で要因実験と野外調査を行った。要因実験では,ドブシジミとドジョウの2要因とし,これらの要因が藻類群集の現存量に及ぼす影響を明らかにした。その結果,ドジョウはミジンコを捕食することで微小藻類を増大させ,ドブシジミはドジョウが共存した場合には濾過摂食により微小藻類を消費し減少させた。それゆえ,ドジョウがミジンコを捕食する間接効果として,ドブシジミの餌である微小藻類が増加し,それがドブシジミの個体数を増加させる可能性があった。一方,ドブシジミは微小藻類の排除により競争者である糸状藻類を増加させた。それゆえ,ドブシジミは糸状藻類を増加させることで,糸状藻類を餌とするユスリカ幼虫の個体数を増加させる可能性があった。さらにユスリカ幼虫はドジョウにとり重要な餌資源なので,ドブシジミはユスリカ幼虫の個体数を増加させる間接効果としてドジョウの個体数をも増加させる可能性があった。野外においてドブシジミとドジョウの分布には正の連関が示された。この正の連関は,本研究で示したドブシジミとドジョウ間の餌をめぐる促進効果にも関係していると考えられた。 |
---|---|
ISSN: | 0021-4914 |