キウイフルーツに対するキクビスカシバ(チョウ目: スカシバガ科)の産卵・加害部位と成虫の発生消長および薬剤防除法
愛媛県南西部のキウイフルーツ園において,キウイフルーツの枝部を加害するチョウ目昆虫が問題化しているため,加害種を飼育して同定し,産卵・加害状況や成虫の発生消長などの発生生態を調査するとともに,薬剤散布による防除試験を行った。キウイフルーツ苗木での飼育により,キウイフルーツ枝部を加害するチョウ目幼虫はキクビスカシバと同定された。孵化した幼虫は,1年生枝(新梢)の葉の着生部位から食入する場合が多く,食入部位の葉は多くの場合枯死に至った。幼虫は,6月下旬には直径30~40mm程度の枝に移動し,食入部位から下方に向けて大量のフラスを排出した。蛹殻がみられた部位の枝の直径は20~90mmとばらつきが大き...
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Veröffentlicht in: | Nihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi 2017-05, Vol.61 (2), p.73-80 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 愛媛県南西部のキウイフルーツ園において,キウイフルーツの枝部を加害するチョウ目昆虫が問題化しているため,加害種を飼育して同定し,産卵・加害状況や成虫の発生消長などの発生生態を調査するとともに,薬剤散布による防除試験を行った。キウイフルーツ苗木での飼育により,キウイフルーツ枝部を加害するチョウ目幼虫はキクビスカシバと同定された。孵化した幼虫は,1年生枝(新梢)の葉の着生部位から食入する場合が多く,食入部位の葉は多くの場合枯死に至った。幼虫は,6月下旬には直径30~40mm程度の枝に移動し,食入部位から下方に向けて大量のフラスを排出した。蛹殻がみられた部位の枝の直径は20~90mmとばらつきが大きく,20~50mmのものが多かった。産卵部位は,葉柄基部,枝分岐部,果梗枝基部等であり,葉柄基部への産卵が最も多かった。また,1カ所あたりの産卵数は1~5卵で,1卵の場合が全体の56%を占めた。10月末までに産卵された卵は,翌春4月上旬~下旬に孵化が認められたことから,本種は卵越冬であることが明らかとなった。孵化率は30.4%,卵寄生蜂の寄生率は39.2%であった。性フェロモントラップによる雄成虫の誘殺は,9月上旬~10月中旬にかけて認められ,9月下旬~10月上旬がピークであった。性フェロモントラップによる分布調査では,愛媛県南西部の南宇和郡愛南町,宇和島市,八幡浜市で発生が確認された。幼虫の孵化時期に合わせた薬剤散布試験において,シペルメトリン乳剤,DMTP水和剤,カルタップ塩酸塩水溶剤が有効であった。 |
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ISSN: | 0021-4914 |