稲発酵粗飼料用水稲品種「たちすがた」の育成
「たちすがた」は、「関東PL12」に「タカナリ」を交雑した雑種後代から、農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所で選抜し、育成した飼料用の水稲粳品種である。「関東飼225号」の地方系統名で栽培性を検討し、優秀性が確認されたため、2008年に品種登録出願を行った。この品種の茨城県つくばみらい市での移植栽培における特徴は以下の通りである。1. 出穂期は「日本晴」より5日程度早く、関東地域では“中生の中”に属する。黄熟期は「日本晴」並で、成熟期は「日本晴」より8日ほど遅い。2. 稈長は「日本晴」より20cmほど長く、穂数は少なく、草型は“穂重型”である。稲発酵粗飼料用品種としては、籾重に比較して全重...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 作物研究所研究報告 2010-03 (11), p.67-84 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「たちすがた」は、「関東PL12」に「タカナリ」を交雑した雑種後代から、農業・食品産業技術総合研究機構作物研究所で選抜し、育成した飼料用の水稲粳品種である。「関東飼225号」の地方系統名で栽培性を検討し、優秀性が確認されたため、2008年に品種登録出願を行った。この品種の茨城県つくばみらい市での移植栽培における特徴は以下の通りである。1. 出穂期は「日本晴」より5日程度早く、関東地域では“中生の中”に属する。黄熟期は「日本晴」並で、成熟期は「日本晴」より8日ほど遅い。2. 稈長は「日本晴」より20cmほど長く、穂数は少なく、草型は“穂重型”である。稲発酵粗飼料用品種としては、籾重に比較して全重の比率が大きく、茎葉の割合が大きいことにより全重が多収となる茎葉型である。3. 稈長は長いが倒伏は「日本晴」より少なく、耐倒伏性は“強”である。また、表面条播栽培における押し倒し抵抗値は極めて高く、湛水直播栽培にも適する。4. 黄熟期の株全重による可消化養分総量(TDN)収量は「日本晴」より19%高く、成熟期の風乾全重は「日本晴」より18%高い。5. いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pib”で、葉いもち圃場抵抗性、穂いもち圃場抵抗性とも不明である。6. 縞葉枯病に“抵抗性”で、白葉枯病圃場抵抗性は“やや強”である。縞葉枯病、白葉枯病の常発地帯にも栽培可能である。7. 以上の多収性や耐倒伏性などの特性から、「たちすがた」は稲発酵粗飼料への用途に適すると考えられる。 |
---|---|
ISSN: | 1346-8480 |