Salmonella Nagoyaによる搾乳牛下痢症の集団発生

2011年9月,埼玉県内の一酪農場で成牛の下痢症が集団発生した.搾乳牛約60頭のほぼ全頭が食欲不振を呈し,うち約半数の牛が腐敗臭を伴う水様便または軟便の下痢を発症,泌乳量は顕著に低下した.病性鑑定に供した発症時の糞便12検体すべてからSalmonella Nagoya(SN)が分離され,その他の病原体検索はすべて陰性であった.本事例は牛においてSNの病原性が示された初めての報告と考えられた.今回の発生要因として,暑熱,泌乳・分娩等のストレス及び飼料給与内容の急変によるルーメン内環境の変化が考えられた.本事例分離SN株と県内で過去に分離された人,牛及びアライグマ由来株をパルスフィールドゲル電気泳...

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Veröffentlicht in:Nippon Juishikai zasshi 2016/10/20, Vol.69(10), pp.597-603
Hauptverfasser: 福田, 昌治, 荒井, 理恵, 吉田, 輝美, 柿沼, 清市, 近, 真理奈
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:2011年9月,埼玉県内の一酪農場で成牛の下痢症が集団発生した.搾乳牛約60頭のほぼ全頭が食欲不振を呈し,うち約半数の牛が腐敗臭を伴う水様便または軟便の下痢を発症,泌乳量は顕著に低下した.病性鑑定に供した発症時の糞便12検体すべてからSalmonella Nagoya(SN)が分離され,その他の病原体検索はすべて陰性であった.本事例は牛においてSNの病原性が示された初めての報告と考えられた.今回の発生要因として,暑熱,泌乳・分娩等のストレス及び飼料給与内容の急変によるルーメン内環境の変化が考えられた.本事例分離SN株と県内で過去に分離された人,牛及びアライグマ由来株をパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)に供したところ,本事例分離株はすべて同一のPFGEパターンを示したが,人,牛及びアライグマ由来株とは異なっており,系統樹におけるこれらのクラスターとの近似度は62.8〜71.7%と低かった.
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma.69.597