共乾施設に導入されたサイロ冷却システムの実稼働性能に関する調査研究

共乾施設に搬入される米麦の品種変更や有利販売のために,外気温が高い夏場での刈取り・乾燥が行われる事例が散見されるようになった。火力乾燥方式の乾燥機を有する共乾施設の課題の一つに,これらを背景にした外気温が高い環境下における乾燥・貯蔵への対応がある。すなわち,穀類を乾燥するために外気を加温する必要があるものの,穀類の品質保持の観点から加温には限界があること,貯蔵に入る前の通風による冷却は外気温以下には下げることができないこと,などである。貯蔵におけるこれら課題に対する対策の一つにサイロ冷却システムがある。サイロ冷却システムの導入は,貯蔵開始時に穀温が高い米麦の貯蔵や,外気温が高い状態におけるサイ...

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Veröffentlicht in:Journal of the Society of Agricultural Structures, Japan Japan, 2016-06, Vol.47 (2), p.18-25
Hauptverfasser: 土方, 享, 和田, 聡一, 中谷, 紘志, 松田, 昌万, 佐竹, 隆顕
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:共乾施設に搬入される米麦の品種変更や有利販売のために,外気温が高い夏場での刈取り・乾燥が行われる事例が散見されるようになった。火力乾燥方式の乾燥機を有する共乾施設の課題の一つに,これらを背景にした外気温が高い環境下における乾燥・貯蔵への対応がある。すなわち,穀類を乾燥するために外気を加温する必要があるものの,穀類の品質保持の観点から加温には限界があること,貯蔵に入る前の通風による冷却は外気温以下には下げることができないこと,などである。貯蔵におけるこれら課題に対する対策の一つにサイロ冷却システムがある。サイロ冷却システムの導入は,貯蔵開始時に穀温が高い米麦の貯蔵や,外気温が高い状態におけるサイロ壁面からの侵入熱の影響を低減する効果が期待される。サイロはカントリーエレベータの中心的な機能である貯蔵を担う設備であることから,実用化が進みつつあるサイロ冷却システムの基本性能について実機での検証試験を行い以下の結果を得た。サイロ(貯蔵容量300t)の冷却時間を17~44時間とした調査における供試サイロに通風した冷却空気の温度は16~18℃,湿度が平均75%RH程度となった。乾燥機の冷却工程を省略し,250tを張込んだ試験区では,初期穀温36℃程度であった籾が33時間程度で目標の穀温20℃となった。その際の排気湿度は80~100%RHとなった。また,冷却に伴う供試籾の水分の変化は見られなかった。以上の諸試験の結果より,本システムのサイロ冷却効果が確認できた。一方で,冷却時間やサイロ内壁での結露発生に留意すべきことが明らかとなった。
ISSN:0388-8517