Trichoderma reeseiにおけるセルラーゼ誘導・生産メカニズムの解明 : β-グルコシダーゼの役割について

セルラーゼの高生産菌であるTrichoderma reeseiのセルラーゼ誘導物質の1つにソホロースがある。ソホロースは,本菌のβ-グルコシダーゼ(BGL)の糖転移反応によって合成されることが示唆されている。T. reeseiのゲノムには,10種類のBGL遺伝子が存在することが示唆されており,これらの異種発現系を大腸菌と麹菌で構築した。10種類の組換え酵素のうち9種類がBGL活性を示し,その酵素化学的性質を明らかにした。セロビオースを基質として,糖転移能力を評価したところ,Cel1A,Cel3A,Cel3BおよびCel3Eに転移生成物が認められ,特にCel1Aは約10%の高い変換率でソホロース...

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Veröffentlicht in:Ōyō tōshitsu kagaku 2016-05, Vol.6 (2), p.96-102
Hauptverfasser: 野崎, 功一, 郭, 博洋, 畠中, 理志, Biely, P, 天野, 良彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:セルラーゼの高生産菌であるTrichoderma reeseiのセルラーゼ誘導物質の1つにソホロースがある。ソホロースは,本菌のβ-グルコシダーゼ(BGL)の糖転移反応によって合成されることが示唆されている。T. reeseiのゲノムには,10種類のBGL遺伝子が存在することが示唆されており,これらの異種発現系を大腸菌と麹菌で構築した。10種類の組換え酵素のうち9種類がBGL活性を示し,その酵素化学的性質を明らかにした。セロビオースを基質として,糖転移能力を評価したところ,Cel1A,Cel3A,Cel3BおよびCel3Eに転移生成物が認められ,特にCel1Aは約10%の高い変換率でソホロースを合成した。一方,T. reeseiにおけるCel1A遺伝子の破壊は,セルラーゼおよびセルラーゼの正の転写因子の発現時期を遅らせることから,Cel1Aはセルラーゼの誘導に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。一方,Cel1Aの活性部位近傍のアミノ酸2残基に変異を導入し,Glc感受性と熱安定性を改善することに成功した。また,同時に比活性の増加(2.4倍)とGlc活性化(50mM Glc存在時に1.8倍)を獲得させることに成功した。この変異型Cel1Aを利用することにより,セルラーゼ生産量を増大させたT. reeseiの作出が期待される。
ISSN:2185-6427