水稲-麦類二毛作体系における水稲の麦間直播技術の実態と技術展開について
関東地方の水稲と麦類の二毛作地帯においては,麦収穫から水稲移植までの間の作業が著しく集中し,特に大規模農家で問題になっている。そこで,これらの問題を解決し,省力的で多収を得られる二毛作体系の確立を目指し,麦の立毛間に水稲を乾田直播する間作栽培体系について,その収量性や現地での実態を調査した。また,麦間直播栽培を現地導入する際の情報提供として,アメダスデータを用いた簡易な生育予測法についても検討を行った。結果は以下のとおりである。1) 不耕起播種機・間作専用播種機を用いた水稲麦間直播栽培において,麦の茎立前に播種することで麦の収量への影響は少なく,慣行栽培と同程度の収量が確保できた。2) 麦間直...
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Veröffentlicht in: | 中央農業総合研究センター研究報告 2016-03 (25), p.17-28 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 関東地方の水稲と麦類の二毛作地帯においては,麦収穫から水稲移植までの間の作業が著しく集中し,特に大規模農家で問題になっている。そこで,これらの問題を解決し,省力的で多収を得られる二毛作体系の確立を目指し,麦の立毛間に水稲を乾田直播する間作栽培体系について,その収量性や現地での実態を調査した。また,麦間直播栽培を現地導入する際の情報提供として,アメダスデータを用いた簡易な生育予測法についても検討を行った。結果は以下のとおりである。1) 不耕起播種機・間作専用播種機を用いた水稲麦間直播栽培において,麦の茎立前に播種することで麦の収量への影響は少なく,慣行栽培と同程度の収量が確保できた。2) 麦間直播した水稲は,標準播種・後播き区と比較し苗立ち率は低くなったが,ほぼ同程度の収量を確保した。3) 麦間直播した水稲は,麦収穫後に播種した区と比較して品質が安定しており,麦間直播した「あきだわら」は単年度であるが麦収穫後に播種した極早生品種「一番星」よりも高い収量が得られた。4) 所内試験では,麦間直播した水稲は「ほしじるし」で2ヵ年の平均で616kg/10a,「あきだわら」は574kg/10aの収量が得られた。大麦の収量を500kg/10a程度確保した年は,大麦+水稲で1100kg/10a程度の合計収量が得られ,現地では小麦+「タカナリ」(飼料用米)で平均943kg/10a程度の収量が得られると推定された。5) アメダスから得た積算温度データを用いた生育ステージ予測では,麦間直播水稲においては出芽から入水までの乾田期間に降雨による補正を行った結果,精度の改善が見られた。不耕起播種機・間作専用播種機による水稲の麦間直播を用いた二毛作体系は,多収性水稲品種を麦の茎立期前に播種量を多くして播種することにより,作業集中の緩和に役立ちつつ,省力的で高い土地生産性を得られる可能性が示唆された。しかし,苗立ち率や雑草管理など改善の必要があると考えられた。また,麦間直播導入の際の目安となるアメダスデータを用いた生育ステージ予測法は,今後さらに予測精度を向上させることで,現地への麦間直播水稲栽培を導入する際の品種選択に用いることができると考えられる。 |
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ISSN: | 1881-6738 |
DOI: | 10.24514/00001599 |