ブラジルのトウモロコシ及び鶏用飼料のアフラトキシン汚染調査とそのリスク評価

アフラトキシン(AF)は,強い発がん性を有し,トウモロコシや飼料などを汚染するマイコトキシンである。日本の輸入鶏肉の約9割がブラジル産である。そこで,ブラジルのトウモロコシと鶏用飼料のAF汚染調査を行い,鶏肉への2次汚染の可能性を調査し,リスク評価を行うことを目的とした。AFB1,AFB2,AFG1及びAFG2とほぼ同程度反応するAFS. 1-1抗体をゲルと結合させてイムノアフィニティーカラム(IAC)を作製した。このIACを用いてトウモロコシと鶏用飼料へのAF添加回収実験を行って条件を検討し,AF類をIACから溶出後,乾固を行わずに分析する方法を確立した。鶏用飼料での添加回収実験の回収率は8...

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Veröffentlicht in:香川大学農学部学術報告 2016-02, Vol.68, p.25-31
Hauptverfasser: Kikuchi, B.A, Hashimoto, E.H, Hirooka, E.Y, 川村, 理
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:アフラトキシン(AF)は,強い発がん性を有し,トウモロコシや飼料などを汚染するマイコトキシンである。日本の輸入鶏肉の約9割がブラジル産である。そこで,ブラジルのトウモロコシと鶏用飼料のAF汚染調査を行い,鶏肉への2次汚染の可能性を調査し,リスク評価を行うことを目的とした。AFB1,AFB2,AFG1及びAFG2とほぼ同程度反応するAFS. 1-1抗体をゲルと結合させてイムノアフィニティーカラム(IAC)を作製した。このIACを用いてトウモロコシと鶏用飼料へのAF添加回収実験を行って条件を検討し,AF類をIACから溶出後,乾固を行わずに分析する方法を確立した。鶏用飼料での添加回収実験の回収率は83.5~99.4%,RSDは1.9%以下で良好であった。確立したIAC-HPLC法でブラジル産トウモロコシ15検体及び鶏用飼料16検体中のAF汚染調査を行った結果,トウモロコシでは,15検体中4検体(27%)陽性で,総AFで6.22~63.09ng/gであった。鶏用飼料では,16検体中15検体(94%)が陽性で,総AFで0.36~4.38ng/gであり,平均値±SDは,1.25±0.95ng/gであった。いずれの検体もブラジルと日本の飼料の規制値を超えていかった。飼料中AFB1の鶏肉への移行量は飼料濃度の1/1,000以下であることから,これらの飼料で飼育された鶏肉も安全なレベルにあり,健康被害を及ぼす可能性はほぼないと推察された。また,本法は簡便で多数検体処理に優れた方法であり,今後,鶏用飼料などの分析に幅広く使われると期待される。
ISSN:0368-5128