開放型チャンバーによる温暖化実験がコナラの繁殖に与える影響

本研究は、コナラ二次林の樹冠に温暖化を想定したオープントップキャノピーチャンバー(Open Top Canopy Chamber以下OTCCと記述)を3基設置し、温度上昇がコナラの繁殖に与える影響を明らかにすることを目的とする。OTCC内とOTCC外(以下controlと記述)のシュート数と雄花序数および雌花数を数え、雄花序を採取し長さと乾燥重量を測定した。また成熟堅果として落下するまで、定期的に雌花数を数えた。それぞれの樹冠直下に設置したシードトラップによって定期的に落下堅果を回収し、成熟堅果の乾燥重量と被食防御物質である総フェノール含有率を計測した。OTCCにおいてcontrolよりシュー...

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Veröffentlicht in:Nihon Seitai Gakkai shi 2015/11/30, Vol.65(3), pp.227-240
Hauptverfasser: 中村, こずえ, 佐野, 淳之
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:本研究は、コナラ二次林の樹冠に温暖化を想定したオープントップキャノピーチャンバー(Open Top Canopy Chamber以下OTCCと記述)を3基設置し、温度上昇がコナラの繁殖に与える影響を明らかにすることを目的とする。OTCC内とOTCC外(以下controlと記述)のシュート数と雄花序数および雌花数を数え、雄花序を採取し長さと乾燥重量を測定した。また成熟堅果として落下するまで、定期的に雌花数を数えた。それぞれの樹冠直下に設置したシードトラップによって定期的に落下堅果を回収し、成熟堅果の乾燥重量と被食防御物質である総フェノール含有率を計測した。OTCCにおいてcontrolよりシュート当りの雄花序数が増加し、さらに雄花序長と乾燥重量も増加傾向を示した。反対にシュート当りの雌花数はOTCCにおいてcontrolより少なかった。着生雌花数の変化はOTCCとcontrolで明確な違いはなかった。成熟堅果の総フェノール含有率はOTCCとcontrolで明確な違いは認められず、回収したすべての成熟堅果の落下日と乾燥重量は正の相関、落下日と総フェノール含有率は負の相関、乾燥重量と総フェノール含有率は負の相関を示した。これらのことより、温度上昇は雌花の生残率と堅果生産量に影響を与えず、総フェノール含有率は温度上昇よりも落下日と乾燥重量のそれぞれと負の関係があった。また、コナラの花芽分化期の温度上昇は雄花序数と雌花数を変化させ、堅果生産量に影響を与える可能性があると考えられる。
ISSN:0021-5007
2424-127X
DOI:10.18960/seitai.65.3_227