ピリダリルの創製およびジハロプロペン殺虫剤の展開

「はじめに」 1990年代初め, 当時農業用殺虫剤の主流を占めていた有機リン系殺虫剤や合成ピレスロイド殺虫剤に対する各種害虫の抵抗性の発達が世界各地で顕在化してきていた. そのような背景のもと, 住友化学では, チョウ目害虫に優れた殺虫活性を示し, 既存の殺虫剤とは異なる作用機構を有すると考えられる新しいケミカルクラスであるジハロプロペン殺虫剤を独自に創製した. そのリード化合物の殺虫活性は微弱なものであったが, そこからいくつものブレークスルーを経て, ピリダリル(Pyridalyl, 商品名「プレオ(R)フロアブル」, Fig.1)を見出すに至った. 本剤は, チョウ目やアザミウマ目害虫に...

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Veröffentlicht in:Nihon Nōyaku Gakkai shi (2013) 2014, Vol.39(1), pp.83-88
Hauptverfasser: 池上, 宏, 坂本, 典保
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 1990年代初め, 当時農業用殺虫剤の主流を占めていた有機リン系殺虫剤や合成ピレスロイド殺虫剤に対する各種害虫の抵抗性の発達が世界各地で顕在化してきていた. そのような背景のもと, 住友化学では, チョウ目害虫に優れた殺虫活性を示し, 既存の殺虫剤とは異なる作用機構を有すると考えられる新しいケミカルクラスであるジハロプロペン殺虫剤を独自に創製した. そのリード化合物の殺虫活性は微弱なものであったが, そこからいくつものブレークスルーを経て, ピリダリル(Pyridalyl, 商品名「プレオ(R)フロアブル」, Fig.1)を見出すに至った. 本剤は, チョウ目やアザミウマ目害虫に対して優れた殺虫活性を示す. また, 他の殺虫剤に対して感受性が低下した害虫に対しても感受性の個体群に対するのと同様に有効である. さらに, 本剤は多くの有用昆虫や捕食性ダニ類などに対する毒性が低く, 優れた選択的殺虫活性を有することから, 総合的害虫管理(IPM)適合資材として認識され活用されている.
ISSN:2187-0365
2187-8692
DOI:10.1584/jpestics.W13-33