市販の日本産とアメリカ産ブロッコリーの雄性不稔の解析
2012年8月に著者の大学で実施した学生実験で市販のブロッコリーの花粉の観察を試みた際,日本産ブロッコリーでは全員充実花粉を見つけられたが,アメリカ産ブロッコリーでは誰も花粉を見つけられなかった.これをきっかけに,2013年4月から2014年3月まで市販の日本産とアメリカ産ブロッコリーにおいて雄性不稔の程度と割合を解析した.その結果,雄しべは十分に発達し,花粉が充実しているタイプA,雄しべは十分に発達しているが,花粉が充実していないタイプB,雄しべは細く,花粉が充実していないタイプC,雄しべは薄く,花粉が充実していないタイプD,雄しべは薄く一部雌性化し,花粉が充実していないタイプE,雄しべは薄...
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Veröffentlicht in: | 植物環境工学 2014/12/01, Vol.26(4), pp.195-204 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 2012年8月に著者の大学で実施した学生実験で市販のブロッコリーの花粉の観察を試みた際,日本産ブロッコリーでは全員充実花粉を見つけられたが,アメリカ産ブロッコリーでは誰も花粉を見つけられなかった.これをきっかけに,2013年4月から2014年3月まで市販の日本産とアメリカ産ブロッコリーにおいて雄性不稔の程度と割合を解析した.その結果,雄しべは十分に発達し,花粉が充実しているタイプA,雄しべは十分に発達しているが,花粉が充実していないタイプB,雄しべは細く,花粉が充実していないタイプC,雄しべは薄く,花粉が充実していないタイプD,雄しべは薄く一部雌性化し,花粉が充実していないタイプE,雄しべは薄く一部雌性化し,かつ,隣接する雄しべや雌しべと融合し,花粉が充実していないタイプFの6タイプの蕾に分類できた.このうち,タイプB,Cの蕾,タイプD,E,Fの蕾は,それぞれ1個体中に共存したため,雄性不稔個体を「BC個体」と「DEF個体」に大別した.日本産ブロッコリーでは季節によって産地は変動したが,全個体の蕾がタイプAであった.すなわち,雄性不稔個体の割合は0 %であった.アメリカ産ブロッコリーではタイプAの蕾だけが存在する個体は24.1 %,BC個体は22.0 %,DEF個体は53.9 %であった.すなわち,雄性不稔個体の割合は75.9 %であった.25 ℃の温度処理実験から,タイプB-Fの蕾は収穫後の高温条件により誘導されるものではないことが示された.また,専用の試験紙を用いたラテラルフローイムノクロマト法による解析から,タイプB-Fの蕾は除草剤グルホシネート耐性遺伝子の組換えに伴い導入された雄性不稔遺伝子に起因するものではないことが示唆された.市販のアメリカ産ブロッコリーに多く認められる雄性不稔個体は交配による育種によって育成された可能性が高いと考えられる. |
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ISSN: | 1880-2028 1880-3563 |
DOI: | 10.2525/shita.26.195 |