貯蔵花粉の順化条件が甘果オウトウ(Prunus. avium L. )の花粉活性と結実率に及ぼす影響

甘果オウトウの結実向上を目的に,貯蔵花粉の順化方法が花粉活性と結実率に及ぼす影響について試験した。-30℃の低温で保存された貯蔵花粉の発芽率は,出庫直後14.0%であった。90%RHの条件で2時間順化すると,発芽率は大幅に上昇し42.4%になった。順化時間4時間までは発芽率に差がなく45.9%になった。90%RHの多湿な条件で順化すると,短時間で高い発芽率の向上が得られた。一方,30%RHの乾燥した条件において,4時間までの順化では,花粉発芽率に順化時間による有意な差はなかった。本試験で最も発芽率の上昇が認められた90%RHの条件で,順化温度が花粉発芽率に及ぼす影響を調査したところ,2時間の順...

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Veröffentlicht in:Engeigaku kenkyuu 2015-01, Vol.14 (1), p.37-41
Hauptverfasser: 萩原, 栄揮, 富田, 晃, 山下, 路子, 新谷, 勝広
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:甘果オウトウの結実向上を目的に,貯蔵花粉の順化方法が花粉活性と結実率に及ぼす影響について試験した。-30℃の低温で保存された貯蔵花粉の発芽率は,出庫直後14.0%であった。90%RHの条件で2時間順化すると,発芽率は大幅に上昇し42.4%になった。順化時間4時間までは発芽率に差がなく45.9%になった。90%RHの多湿な条件で順化すると,短時間で高い発芽率の向上が得られた。一方,30%RHの乾燥した条件において,4時間までの順化では,花粉発芽率に順化時間による有意な差はなかった。本試験で最も発芽率の上昇が認められた90%RHの条件で,順化温度が花粉発芽率に及ぼす影響を調査したところ,2時間の順化において,4℃では41.0%,20℃は42.4%,25℃は43.8%で,同程度の発芽率となった。順化時間が12時間になると25℃では発芽率が急激に低下し7.9%になった。順化方法の違いによる結実率への影響について見ると,慣行の方法で順化した貯蔵花粉を使った人工受粉の結実率は2.5%であった。90%RHの多湿な条件で2時間順化した貯蔵花粉を使って人工受粉すると,結実率は17.2%であった。以上のことから,貯蔵花粉を90%RHの条件で2時間順化すると高い発芽率が得られた。また,その花粉を使って人工受粉すると結実率も向上することが明らかとなった。
ISSN:1347-2658