地上部窒素吸収量の増大による水稲多収品種の籾数増加とその限界

単位面積当たりの籾数 (以下,籾数) は,水稲の収量決定要因の一つである.これまでの研究により,出穂期の地上部窒素吸収量と籾数の間には正の相関関係が成立することが示されているが,その成立範囲については明らかとなっていない.本研究では,水稲多収品種の北陸193号とミズホチカラを供試し,出穂期の地上部窒素吸収量の増大による籾数増加について,その限界に焦点を当てて調査した.窒素施肥量15.5 g m-2,24.5 g m-2,33.5 g m-2の3水準による栽培試験では,両品種とも,出穂期の地上部窒素吸収量は窒素施肥量の増量に応じて有意に増加した.一方で,籾数は窒素24.5 g m-2区と窒素33...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Japanese journal of crop science 2014, Vol.83(4), pp.374-379
Hauptverfasser: 小林, 英和, 千葉, 雅大, 長田, 健二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:単位面積当たりの籾数 (以下,籾数) は,水稲の収量決定要因の一つである.これまでの研究により,出穂期の地上部窒素吸収量と籾数の間には正の相関関係が成立することが示されているが,その成立範囲については明らかとなっていない.本研究では,水稲多収品種の北陸193号とミズホチカラを供試し,出穂期の地上部窒素吸収量の増大による籾数増加について,その限界に焦点を当てて調査した.窒素施肥量15.5 g m-2,24.5 g m-2,33.5 g m-2の3水準による栽培試験では,両品種とも,出穂期の地上部窒素吸収量は窒素施肥量の増量に応じて有意に増加した.一方で,籾数は窒素24.5 g m-2区と窒素33.5 g m-2区の間に有意差が認められなかったことから,地上部窒素吸収量の増大による籾数増加には限界があると考えられた.そこで,その限界点を明らかにするため,出穂期の地上部窒素吸収量と籾数の関係を折れ線回帰モデルで回帰分析した結果,北陸193号では地上部窒素吸収量22.0 g m-2で籾数が最大の54680粒 m-2に達し,ミズホチカラでは地上部窒素吸収量20.0 g m-2で籾数が最大の58951粒 m-2に達すると算出された.
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.83.374