ミカンキイロアザミウマとネギアザミウマの走光性とウンシュウミカン加温施設栽培における紫外線誘引トラップによるアザミウマ防除の可能性

ウンシュウミカン加温施設栽培の害虫であるネギアザミウマとミカンキイロアザミウマに対して走光性を利用した防除法を開発するため,以下の試験を行った。ネギアザミウマの複眼分光感度,ミカンキイロアザミウマとネギアザミウマそれぞれの走光性作用スペクトル,気温と誘引個体数との関係を調査した。ネギアザミウマの複眼分光感度は360nmと520nmの2波長でピークを示す二峰型の曲線であった。ミカンキイロアザミウマとネギアザミウマは波長350nm付近で強い正の走光性を示した。気温の低下に伴い光源への正の走光性は弱まり,気温20℃程度では光源への誘引個体数は激減した。ウンシュウミカン果実果皮に300nm以下の波長を...

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Veröffentlicht in:Nihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi 2014/08/25, Vol.58(3), pp.187-195
Hauptverfasser: 眞壁, 敏明, 二村, 友彬, 納富, 尚義, 若桑, 基博, 蟻川, 謙太郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:ウンシュウミカン加温施設栽培の害虫であるネギアザミウマとミカンキイロアザミウマに対して走光性を利用した防除法を開発するため,以下の試験を行った。ネギアザミウマの複眼分光感度,ミカンキイロアザミウマとネギアザミウマそれぞれの走光性作用スペクトル,気温と誘引個体数との関係を調査した。ネギアザミウマの複眼分光感度は360nmと520nmの2波長でピークを示す二峰型の曲線であった。ミカンキイロアザミウマとネギアザミウマは波長350nm付近で強い正の走光性を示した。気温の低下に伴い光源への正の走光性は弱まり,気温20℃程度では光源への誘引個体数は激減した。ウンシュウミカン果実果皮に300nm以下の波長を含む光線を照射したところ,果実果皮が黒変する果皮障害が生じた一方,アザミウマに強い走光性を惹起させた350nmを中心波長とする光源の照射では果皮障害は生じなかった。このことから,トラップの光源波長は350nm付近が適切であると考えられた。ウンシュウミカン加温栽培施設で紫外線誘引トラップのアザミウマ類の被害軽減効果について検討した。2006年,トラップ設置区と殺虫剤を散布した非設置区との比較では,両区で果実被害度,被害果率が同等であった。2007年,トラップ設置区とアザミウマ類無防除の非設置区の比較では,トラップ設置区で果実被害度,被害果率が低い傾向がみられた。以上よりウンシュウミカン施設加温栽培のアザミウマ類の防除に紫外線誘引トラップが有効である可能性があり,トラップ光源の波長は350nm付近が適切であることが明らかとなった。
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.2014.187