森林表土を用いた緑化における表土採取場所よる土壌侵食量の違い

林道法面などにおいて緑化を行う際,近年,外来植物種子に代わり,森林表土が緑化の材料として使われるようになってきた。森林表土を用いて緑化を行うと,様々な種類の草本類・木本類が入り混じって生育することから,外来緑化植物と比較した場合,もしくは異なる森林表土間で,土壌侵食量は大きく異なる可能性がある。本研究では,九州大学福岡演習林内の3ヶ所(御手洗水・生ヶ谷・新建)において採取した森林表土を3cm厚さで撒きだし,埋土種子植物を発芽させ,成長させた。さらに,人工降雨装置を用いて侵食試験を行い,これら3種類と外来緑化植物であるバミューダグラスの土壌侵食量,および裸地の土壌侵食量を比較した。植物を生育させ...

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Veröffentlicht in:九州大学農学部演習林報告 = Bulletin of the Kyushu University Forest 2013-05 (94), p.18-22
Hauptverfasser: 岩崎, 貴大, 篠原, 慶規, 大谷, 荘平, 久保田, 哲也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:林道法面などにおいて緑化を行う際,近年,外来植物種子に代わり,森林表土が緑化の材料として使われるようになってきた。森林表土を用いて緑化を行うと,様々な種類の草本類・木本類が入り混じって生育することから,外来緑化植物と比較した場合,もしくは異なる森林表土間で,土壌侵食量は大きく異なる可能性がある。本研究では,九州大学福岡演習林内の3ヶ所(御手洗水・生ヶ谷・新建)において採取した森林表土を3cm厚さで撒きだし,埋土種子植物を発芽させ,成長させた。さらに,人工降雨装置を用いて侵食試験を行い,これら3種類と外来緑化植物であるバミューダグラスの土壌侵食量,および裸地の土壌侵食量を比較した。植物を生育させたボックスの土壌侵食量は,最大でも裸地の15%程度であり,既往の研究と同様に,植生による土壌侵食防止機能が発揮されていた。生ヶ谷とバミューダグラスは,被覆率が大きくなると土壌侵食量が小さくなる傾向があったが,御手洗水と新建ではすべてのボックスにおいて,被覆率に関わらず土壌侵食量は小さかった。これは,土壌侵食量が小さくなる被覆率が,採取した森林表土間で異なることを示唆している。生ヶ谷と御手洗水は,被覆率や生育本数,木本種と草本種の割合がほぼ同じであるにも関わらず,このような差が見られた。このことから,森林表土を用いた緑化の場合,土壌条件など,被覆や生育本数,植物種以外の影響を強く受ける可能性がある。
ISSN:0453-0284