ナシカワホソガの性フェロモンを介した配偶行動の観察

25±1℃,15L9Dの室内条件でナシカワホソガの処女雌のコーリング行動とその時間帯別頻度,雄の処女雌に対する一連の配偶行動連鎖,交尾継続時間を明らかにするとともに,1雌当量の雌抽出物および様々な薬量の合成フェロモンに対する雄の応答を調査した。雌によるコーリング行動は暗期に観察され,コーリングの頻度は暗期開始後4.5~6.5時間で最大となった。また,雌のコーリング行動は,翅を垂直に立て,時に翅を小刻みに震わせながら,腹部を反らせて腹端を露出する特徴的なものであった。また,26組の交尾継続時間は82.9±5.0分(平均±標準誤差)であった。コーリング中の処女雌に対し,雄は触角を激しく振りながらの...

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Veröffentlicht in:Nihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi 2013/08/25, Vol.57(3), pp.159-166
Hauptverfasser: 大林, 華菜子, 中田, 健, 安藤, 哲, 中, 秀司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:25±1℃,15L9Dの室内条件でナシカワホソガの処女雌のコーリング行動とその時間帯別頻度,雄の処女雌に対する一連の配偶行動連鎖,交尾継続時間を明らかにするとともに,1雌当量の雌抽出物および様々な薬量の合成フェロモンに対する雄の応答を調査した。雌によるコーリング行動は暗期に観察され,コーリングの頻度は暗期開始後4.5~6.5時間で最大となった。また,雌のコーリング行動は,翅を垂直に立て,時に翅を小刻みに震わせながら,腹部を反らせて腹端を露出する特徴的なものであった。また,26組の交尾継続時間は82.9±5.0分(平均±標準誤差)であった。コーリング中の処女雌に対し,雄は触角を激しく振りながらの歩行(OW),雌への断続的な定位飛翔(OF),雌の至近への着地(LF),頭部での雌の腹端付近への接触(TF),接触後反転し翅を立て振るわせながら後進しつつ結合試行(AC),という配偶行動連鎖を示し,その後交尾に至った。1雌当量の雌腹端抽出物に対し,1日齢以降の雄の配偶行動は暗期開始後4.5~7.5時間に最も活発になり,この時間帯は雌がコーリング行動を示す時間帯とよく一致したが,0日齢の雄の配偶行動は雌のコーリングが終息する暗期開始後6.5時間から活発化した。異なる薬量の合成雌性フェロモンに対し,いずれの薬量においてもほとんどの雄がOWを示し,うち10%前後の個体がOFを経て誘引源の至近に着地したが,処女雌に対して示す,接触・反転・羽ばたきを伴う結合試行TFとACは観察されなかった。また,薬量10ngおよび100ngの合成雌性フェロモンに対しては,少数の雄が配偶行動連鎖をOWで中断した。
ISSN:0021-4914
1347-6068
DOI:10.1303/jjaez.2013.159