植生保護柵を活用したモニタリング地点の植生変化
神奈川県ニホンジカ保護管理計画(第1次計画)期間の2003~2006年に、植生保護柵内と柵外を1セットとした植生調査地を丹沢山地内に総計56地点設定して、第2次神奈川県ニホンジカ保護管理計画期間(2007~2011年)に52地点で再調査した。52地点を4カテゴリー、すなわち柵内と2003年からの管理捕獲地、2007年からの管理捕獲地、捕獲未実施地に区分して、4指標(林床植被率と樹木稚樹の樹高、ササの稈高、不嗜好性種の相対優占度)の変化量をカテゴリー間で比較した。柵内では植被率や樹木稚樹の樹高、ササの稈高が高まった地点がいずれも6割以上に達し、とくに樹木稚樹の樹高の高まった地点は8割に達した。2...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 神奈川県自然環境保全センター報告 = Bulletin of the Kanagawa Prefecture Natural Environment Conservation Center 2013-03 (11), p.45-52 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 神奈川県ニホンジカ保護管理計画(第1次計画)期間の2003~2006年に、植生保護柵内と柵外を1セットとした植生調査地を丹沢山地内に総計56地点設定して、第2次神奈川県ニホンジカ保護管理計画期間(2007~2011年)に52地点で再調査した。52地点を4カテゴリー、すなわち柵内と2003年からの管理捕獲地、2007年からの管理捕獲地、捕獲未実施地に区分して、4指標(林床植被率と樹木稚樹の樹高、ササの稈高、不嗜好性種の相対優占度)の変化量をカテゴリー間で比較した。柵内では植被率や樹木稚樹の樹高、ササの稈高が高まった地点がいずれも6割以上に達し、とくに樹木稚樹の樹高の高まった地点は8割に達した。2003年からの管理捕獲地では植被率や樹木稚樹の樹高、ササの稈高のいずれかが高まった地点が1~2割、不嗜好性種の優占度が下がった地点が3割あったが、6~9割の地点では変化しなかった。2007年からの管理捕獲地では植被率が高まった地点は2割、不嗜好性種の優占度が下がった地点は1割あったが、樹木稚樹とササともに高くなった地点はなかった。捕獲未実施地ではいずれかの指標が一部の地点で改善したが、植被率やササの稈高が低下した地点は3~5割あった。そうした植被率やササの稈高が低下した地点は世附川や神ノ川エリア内に複数あった。以上のことから、2003年からの管理捕獲地では植生回復の改善傾向がみられる一方で変化していない地点が多いため、捕獲圧を継続してかける必要があることがわかった。2007年からの捕獲地では捕獲後間もないため、改善傾向は見られず逆に調査開始時点よりも悪化している地点もあった。捕獲未実施地では調査開始時点よりも悪化している地点があることから、予防的な捕獲が必要と考えられた。今後は、捕獲効率や植生の種組成を解析して、植生回復のための効果的な捕獲計画をたてることが課題である。 |
---|---|
ISSN: | 1349-2500 |