農薬の安全性評価に係る毒性試験法ならびに最近の動向

このところ, 中国南部の鉱山が集中する地域で重金属による環境汚染が深刻化し, 公害病が住民の健康を蝕んでいるとの報道がなされているが, 我が国においても, おおよそ50年ほど前にさかのぼるが, 高度経済成長期にあった1960年前後の時期に, 負の側面として「水俣病」や「イタイイタイ病」などの公害病が発生し, 大きな社会問題として取り上げられた. 環境化学物質である農薬については, DDTなどの有機塩素系農薬の残留性が問題とされ, 安全性に関する抜本的な見直しが図られる中, 1972年に毒性試験法ガイドラインが制定されるに至った. しかし, 当時は毒性学そのものが未発達で明確な試験法というものも...

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Veröffentlicht in:Nihon Nōyaku Gakkai shi (2013) 2013/02/20, Vol.38(1), pp.24-27
1. Verfasser: 寺本, 昭二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:このところ, 中国南部の鉱山が集中する地域で重金属による環境汚染が深刻化し, 公害病が住民の健康を蝕んでいるとの報道がなされているが, 我が国においても, おおよそ50年ほど前にさかのぼるが, 高度経済成長期にあった1960年前後の時期に, 負の側面として「水俣病」や「イタイイタイ病」などの公害病が発生し, 大きな社会問題として取り上げられた. 環境化学物質である農薬については, DDTなどの有機塩素系農薬の残留性が問題とされ, 安全性に関する抜本的な見直しが図られる中, 1972年に毒性試験法ガイドラインが制定されるに至った. しかし, 当時は毒性学そのものが未発達で明確な試験法というものもなかったため, ガイドラインには必要な試験の種類が示されたものの, 具体的な試験方法はほとんど記載されておらず, いざ実施となるとどの試験機関も手探りというのが実情であった. その後, 10数年の時を経て多くの試験データが蓄積されるにつれて毒性学も進歩し, 「農薬の毒性に関する試験の適正実施について」, すなわち, 農薬GLPが導入されたことと相まって, ガイドラインも具体的な内容に全面改定された(1985年).
ISSN:2187-0365
2187-8692
DOI:10.1584/jpestics.W12-33